ドラゴンクエスト・アナザー
「きさまたちが魔物だったのか! 撃て!」
セーラたちが助ける間もなく、ホイミスライムたちは撃たれた。
四人が駆けよると、ホイミスライムは虫の息で、子供の方は既に息絶えていた。
ホイミスライムは弱々しい声で話す。
「わたしは以前この街の人に命を助けられました。その恩返しがしたくて、わたしは人間に姿を変えこの街に来たのです…… 少しはこの街のお役に立てたでしょうか。娘を罠から助けてくれて……ありがとうござい……ました……」
「お願い、もうしゃべらないで!」
セーラが叫ぶ。
しかしソクラスであった魔物は、力尽き消えていった。
セーラは怒りが湧いてくる。
「一体! 一体この人たちが何をしたって言うの!?」
「なぜ魔物を倒して文句を言われなければならないのですかな。あなた方だって今までさんざん魔物を倒してきたのではありませんか?」
アレフがセーラの肩を叩き首を振る。
セーラはやりきれない気持ちでいっぱいであった。
街の人々はソクラスのことを話し合っていた。
「ソクラスさんは魔物だったんだってねえ。よく誰も襲われなかったもんだよ」
「あんな親切そうだったのも安心させる手だったんだね」
「あたしゃ前から裏がある人だと思っていたよ」
街の教会では結婚式が行われている。
新郎新婦はとても幸せそうである。
「エリックー、オリビアを大事にしろよー」
「二人ともお幸せにー」
セーラはラーの鏡を取りに行ったことを激しく後悔した。
そして一刻も早くこの街を出たかった。
ソクラスの船は東の大陸を目指す。
次は二人とも人間に生まれてきてねと、セーラは祈るのであった。
作品名:ドラゴンクエスト・アナザー 作家名:malta