とある転生者の話(第一部)
そして、なぜか真っ白な世界でオッサンが俺の前で土下座していた。
真面目に言いたい。
「なんなんだこれ」
「マジスマン、ホントスマン。」
オッサンが謝ってきた。
「いや、うんマジなんだよオッサン」
「ホントスマン」
「いや、だから、なんなんだよオッサン」
オッサンが土下座から治らない。
「ワシはお前さんの世界の神をやっとるもんじゃ」
「あぁそうd……は？神？」
とうとうオッサン狂ったようだ。
「そう、神様」
「オッサン、大丈夫？」
「なぜそんな可哀想な目で見るんじゃ？」
「いやだって、いきなり自分が神様とか言い出すから」
「だって、ワシ、ホントに神様じゃし」
うわ…どうしよう…
「スマンのぉ…お主、ホントはこんな所で死なないはずじゃったんよ」
「…俺、やっぱり死んだの？」
「スマンのぉ…新人がその…間違えてのぉ…」
３行で説明するとこうらしい。
・「魂回収課」に新人が来た(そんな課あってたまるか！)
・俺の人生の書かれた書類の年齢欄に珈琲をこぼした（あるあ…ねーよ！！）
・人生の書類の年齢が隠れる、消えると死亡する（どんな原理だよ！？）
「つまり、俺、その新人のせいで死んだの？」
「スマンのぉ、元の世界には戻せないんじゃが、好きな世界に転生させてあげよう」
「好きな世界？アニメでもいいのか？」
「もちろんじゃ」
俺は聞いてみた。
「ゲームの世界…ポケモンでもいいのか？」
「もちろんじゃよ」
「じゃあポケモンの世界に送ってくれます？」
俺はワクワクしていた。
死んだにも関わらず、だ。
だってポケモンと生活出来るんだぞ？
最高じゃんか！
「じゃあ、ポケモンの世界に送るとしての、能力はどうする？」
「は？能力？なにそれ転生もの小説じゃあるまいし」
「……いや、転生者には能力をさずけなきゃいけなくての」
「なんでもいいのか？世界が荒れないか？」
「…正直言っての、酷くなってしまう世界もあるんじゃ。
でもお主はそういう事には使わんじゃろ？」
「なんでそう思う？」
「そんな事聞いてくるからじゃよ」
「…まぁ、原作を壊すつもりはないですけど」
「じゃからそこそこの無茶は通すつもりじゃよ？」
俺はその言葉に甘えることにした。
「ポケモンと話したい。」
「…そんなことでいいのかい？」
「俺はどんなチート能力よりも嬉しいんだが」
「…お主、少女を助けたことといい、いい奴じゃのぉ」
「臆病者なだけですよ」
「他にはないのかい？」
「え…うーん、好きなポケモンに会いやすくなれば嬉しいかな…」
「ホントに欲がないのぉ」
「え、これかなり贅沢じゃないっすか？」
「もっと凄い願いとかあったしのぉ『ハーレム作るんだ』とか」
「えー、ハーレムとか背中刺されそうじゃんかやだー」
「…転生者が全員お主のようであればのぉ」
どんなに酷かったんだろうか、今までの転生者。
「じゃあ、元気でのぉ」
オッサンがそう言うと…
俺は知らないうちに下に出来た穴に真っ逆さまに落ちていった。
作品名：とある転生者の話(第一部) 作家名：紗雅羅