本音
シーツに負けず劣らずの白い肢体を投げ出し包まって、広がった蜂蜜色の髪からは甘い匂いが漂い、その中にぽっかり浮かぶ表情は気だるげでだけど拗ねたようにつんと唇を尖らせて―ただそれだけなのにえろい。欲望に耐えられず顔を近づけ、軽いキスを贈ると柔らかい唇がそれを受け入れる。普段のそれは彼を罵る言葉が伝うが、ベットの中だけは違う。普段言わない言葉で彼を誘い、気が付けば二人分の涎で甘く穢れる。生ぬるさが彼の下半身を欲望を引き出し、止まらない。
今だけは甘い唇が離れがたく貪ると応えられ、項の辺りがぞくぞくした。手を伸ばして頭を抑えればそれは深く深く刺さり、もう逃げられない。
掴まって囚われて果ては廃人だろうか。それも良い。喜んで堕ちてやろう。ギルベルトは薄く微笑う。
「なに笑っているのよ……余裕ぶっててむかつく」
「余裕ぶってる…?誰がだ?」
「あなた以外いる……?いつも余裕ぶってて……私だけがあたふたしてて……むかつく。ギルのばか変態女たらし」
女たらし……初めて言われた。そんなに自分は余裕があっただろうか?彼女といる時はいつもどきどきして要らんことをしたり言ったり、落ち着きなく恰好良いとは到底言えない。
彼女の前ではいつだって恰好悪いと自覚していた。
だから意外だったのだ。余裕があると指摘されたことが。
もし余裕があると思われたのなら、それは―
ギルベルトはじっと彼女を見つめると、彼女は恥ずかしそうにシーツを被り、じっと見るなと涙交じりの声で怒る。子供っぽい仕種に彼は少し笑うと、迷いもなくシーツを引き剥がし彼女の耳に囁く。
「お互い様だ、馬鹿エリザ」
「ひゃっ、な、なにが?」
「ケセセセセー教えてやるかよ」
少しでも恰好良く見られたいという意地があるからだ。