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【TOG】アスシェリ背中にキス(仮)

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日付けをとうに越えた深夜、領主邸の庭に白い影が一つ。その影は右へ左へフラフラと動きながら、通常の数倍の時間をかけて屋敷の中へと入り、扉が閉まるとともに玄関に倒れこんだ。
「アスベル…だから飲み過ぎには注意してって言ったのに…。私まで恥をかいてしまったじゃない。」
「ごめん、でも断れるような雰囲気じゃなかったんだ。」
大きな物音を聞いたシェリアが玄関を覗くとそこには、婚姻を控えた幼なじみが倒れていた。それに驚いた彼女が、家中に響くような悲鳴を上げ、その後数人がかりでアスベルを寝室へと運び、ようやく会話ができるまでに回復したところである。
アスベルはその日、グレルサイドで行われた領主同士の懇親会に出席していた。そこに招かれていた旧友でありウインドル国王でもあるあるリチャードや、顔なじみであるデール公にすすめられるまま酒をあおった結果、帰宅する頃には足元がおぼつかなくなってしまっていた。
「もう今日は寝た方がいいわ。おやすみなさい。」
そう言ってシェリアが寝室から出ていこうした瞬間、彼女の左腕はアスベルの右手によって捉えられてしまっていた。
「もう少しだけいいじゃないか。シェリアに聞いてほしいことがあるんだ。」
ベッドの上に横たわったアスベルは酒が抜けきっていないようで、微かに顔が赤らんでいた。しかし彼のオッドアイは真剣そのものであり、それを見たシェリアは微かに熱をもった頬を隠すために顔をそむけ、わざとらしくため息をつきながらベッドに腰掛けた。それを確認したアスベルはゆっくりと上体を起こし、シェリアを背後から軽く抱き寄せ、ゆっくりと口を開いた。
「今日の懇親会で、親父の話を聞いたんだ。あまり社交的な性格ではなかったからそこまでの親交があったわけではないらしいが、色々な話を聞いた。」
「そう…よかったじゃない。」
「死んだ後もこうやって話題になるもんなんだなと感心したよ。でもそれも束の間だった。話題はすぐに変わってしまった。まあ仕方がないことなんだろう。たかが一領主、所詮他人なんだ。きっとこれから先、親父のことを思い出して話題にしてくれる人はどんどん減っていく。それは仕方がないことなんだ。でも、少し不安になった。」
「何が?」
シェリアは続きを促すように腹に回った右手にそっと触れると、抱き寄せる腕の強さがかすかに強まった。
「俺が…俺が死んだ時、その後俺のことを覚えていてくれて、話題に出してくれる人はいるのだろうか?そして、俺も親父と同じように忘れられていくのだろうか…そんなことを考えてしまった。」
「ソフィがきっと覚えていてくれるわ。」
「シェリアは、どうだ?もし俺が死んでしまったら…」
「忘れるわけないじゃない。大丈夫。でも…」
かすかに触れていただけのアスベルの掌を、シェリアはギュッと握りこむ。
「私を残していくなんてずるい真似、もう二度と許さないわよ。」
「はは…子供の頃のことを言うのはもう勘弁してくれ…。」
そう言うとシェリアを拘束していた腕を少しゆるめ、彼女の背中に顔をうずめ、そっと背中に口づけを落とした。