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ナルガ×ドボル

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水没林の、俗にエリア4と呼ばれる場所に彼は居た。
モンスターの中でも上位に入る恵まれた体躯、草食系特有のおっとりとした顔立ち、両手に持つ引きずるほどに大きなハンマー。彼の名はドボルベルク。この水没林に棲む唯一の大型種…の、はずだった。


(また来てるし)

咥えた朽木を咀嚼しながら、ドボルベルクは悩んでいた。というのも、人間でいう半月ほど前からこの水没林に自分以外の大型モンスターが住み着いているためである。それも肉食系の飛龍種だ。彼のもっぱらの悩みはそれであった。

(アレのせいでケルビなんかはほとんど何処かに行っちまった。残ってる草食でここを離れないのは俺とズワロプスぐらいか。)

咀嚼し終えた朽木を飲み込み、ハンマーで次に食べる木を砕く。そんな彼の後方、30メートルほどの木の上に悩みの種である飛龍種が気配を殺すようにしてこちらの様子を伺っていた。気づいていないふりをしているが、ここ数日ずっと見られている。

(捕食目的かねえ。確かに俺を仕留めれば数日は食ってけるだろうし。俺もそんな簡単にはやられないはずだけど)

自慢のハンマーにちらりと目をやる。飛龍種は相変わらず動かない。

(まあ、向こうが何かしてこない限りは俺から動く必要もないわけだし)

そこまで考えて、ドボルベルクは食事に専念することにした。次の木を砕こうとハンマーを持ち上げたその時だった。
それは彼の死角から放たれた。

「ッ、何だよもう」

脇腹を何かがかすめた。ジュッと音がした方を見ると、火炎弾が役目を終えて水に沈んでいる。ハンマーを握り直し、弾の飛んできた方向に向き直る。

「人が飯食ってるってのによおおお!!!」

草食系は、キレると恐ろしい。ドボルベルクは叫ぶと、自分を打ったであろうハンターへと一直線に走り出した。さっさと邪魔者を排除して、食事の続きをする。ハンターの排除を最優先に考える彼の頭からは、飛龍種の存在はすっかり抜け落ちていた。

「っらあ!!」

グルグルとハンマーを振り回し、目的へと振り下ろす。が、ハンターは紙一重で回避し、銃口をこちらに向け引き金を引いた。

(やばい、直撃…!)

一撃程度では倒れないだろうが、至近距離からの射撃はさすがに痛い。その上どこに潜んでいたのか、弓やら太刀やらを構えた奴らが増えている。それらが同時にドボルベルクに襲いかかろうとした次の瞬間、樹上から放たれた黒い何かがそれらを弾いた。

「…あ?」

自分たち以外の気配を感じそちらを見やると、長身痩躯、口元まで黒い布で覆った飛龍種がハンターに対峙していた。

(なんだか知んねえけど、まあ良い。面倒だし、俺は逃げる)

相手は複数だがアレも飛龍種、そう簡単にはやられないだろう。そう考えてドボルベルクはハンマーを引きずりエリアを移動する。エリア10のねぐらまで移動してしまえばこちらの物だ。食事に関しては途中で適当な木を持って帰ればいい。くわっと一つあくびをした彼の顔は、いつもの穏やかで眠そうなものに戻っていた。

「あれェ、アンタ今の時間はいつも食事に出てんじゃないっけェ?」

巨木を抱えてねぐらに帰ると、金髪に派手なスーツ、間延びした口調の男が出迎えた。男の名はドスフロギィ。ドボルベルクとねぐらを分ける、小うるさいフロギィ共の長だ。

「まあね。それより、帰ってくる途中お前んとこの取り巻き共がなんか騒いでたけど」
「あー、それねェ。たぶん新参者の飛龍のこと噂してんでしょ。だぁれも姿を見たことないけど、オイラは知ってるよ。ありゃ渓流に居たっていうナルガクルガさァ」
「…なんだって、んな事お前が知ってんだよ。知り合いなんか居たっけ。」
「あれあれェ、話してなかったっけェ?あそこのドスジャギィと昔ちょっとあってさァ、聞きたい?」
「聞かなくていいし。それよりあの飛龍がナルガクルガって…」



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力尽きた\(^q^)/
作品名:ナルガ×ドボル 作家名:ripo