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ブロッコリ・インフェルノ

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ブロッコリーの由来を知っているか?

ちなみに僕は「小さな森」のことだと思っていた。
ブロック+グリーンでブロッコリー。

正解は「茎」や「芽」を指す。残念ながら、我が大英帝国ではなく、海の向こうのイタリア語が語源だ。
そんなことはともかく、ブロッコリーの暗い色は僕にあの「禁じられた森」を思い出させる。

ブロッコリーは明るい緑色だって?
ああそう、ブロッコリーは茹でないとあんな明るい色にはならない。
大抵の魔法使いは知らないだろう。ママの手料理を食べつけている、甘やかされて育ったマグルの子にも。

僕はよく知っている。
あの深く沈んだ緑色も、生で食べる時のあのもさっとした草っぽい味も。
それでも人参なんかよりはるかに消化しやすい野菜だよ、ブロッコリーは。
レンジでチン、を覚えてからはもっとよく…って魔法使いにはますます理解しがたい話だね?



ともかくその時、暗い森の中で僕は本来のブロッコリーの色を思い出していた。
手のつけられていない、原始のままの─────



「ハリー、聞いているのですか」


不意に耳元で声がして、僕はびくっと身を震わせた。

眠気と空腹のあまり、気を失いかけていたらしい。
眠気と空腹のあまりで、だ。
僕たち(まぁいつもの3人組だ、わかるだろ?)はもう5時間もここで拘束されていた。

この!
目の前の!
トンチキなケンタウルス(フィレンツェ♂ 好物は干し草じゃありませんよ)の説教に!

本人は予言と言い張っているが、これはただの説教だ。拷問だ。
「ほらロン、あなたもです。そんなことでは生涯うだつのあがらないマグル製品不正使用取締局の木っ端役人で終わってしまいますよ」←それはロンのおとうさんです
(そんなの誰でも予想できるよ!)とハリーは心の中で毒づいた。←ひどい
(それでいいんだよロンは!)
その分ハーマイオニーが出世してくれるはずだから、きっと。

「貴女は、そう明けの明星が告げています─── 一生不細工の星のもとから離れられませんね!」
これはハーマイオニーに向けられた言葉だが、幸いにも彼女は白目を剥いて寝ていた。

「まったくこの世も終わりです。ソドムとゴモラの塩の都!ハリー、いい加減にあの頭の足りないマルフォイの坊やに手を出すのはやめることですね」
おかん(♂)の説教はとどまることを知らない。
「さもないと、3日と8時間後には可哀想な坊やは切れ痔になってますよ」

きゃっ、と悲鳴があがって、僕はふりむいた。
さっきまで白目を剥いていたハーマイオニーが、跳び起きたはずみに茂みに頭を突っ込んだらしい。バキバキと小枝を折りながら戻ってきた彼女は、いっそうぼさぼさになった髪に千切れた葉をくっつけて、まさしく不細工の星の下に生まれついた証を立てていた。
ただし、さっきとうってかわって瞳をきらきらと輝かせて────
いや、爛々と光らせて、が正しいだろうか。


「あらごめんなさい、フィレンツェ。クモに驚いてしまって!今の予言、聞こえなかったんだけれどもう一度言ってくださる?」
ケンタウルスの青年はあからさまに嫌そうな顔をした。

「こう申し上げました。『子子孫孫まで不細工の星の下に生まれつくでしょうね、土星の輪にそう刻まれていますよ』とね!」

ピシ、と暗い森の空気が凍りついた。
ハーマイオニーはむしろ微笑んでいた。果てしなく。ニヤニヤと。
そう、ニヤニヤと。僕ははっきりとそう感じていた。

「ところでフィレンツェは赤髪と黒髪、どちらがお好きなの?」
ハーマイオニーが小首を傾げる。
「逞しい赤髪のベインに強引に?でも私は狡猾な黒髪のロナンの手練手管で嫌だやめて…ア──ッ!っていうのも好みよ?」

               センモンヨウゴ
ハーマイオニーが 魔法の言葉を 使った !


「なんて破廉恥な……っ!」
フィレンツェは不意に動揺しだした。未来予知に長けたこの生き物には何かが見えたらしい。

「私の自動速記羽ペンQQQはとーっても優秀なの!」
無邪気な声が囁いた。遠隔操作だってできるのよ、
「ほら、『くくく、お前のミルクをたっぷり搾り取ってやるよ』とか萌えじゃない?!」
ハーマイオニーはくくく、の部分を感情たっぷりに言ってのける。
可哀想な知的生命体はついに悲鳴をあげた。
「なんて穢らわしい!なんて…なんてことを……っっ」
憤りのあまり言葉が出てこないらしい。
神経質に震える尻尾を見て、ハーマイオニーはますます興奮した。
「しししししっぽ!しっぽ!!尻尾をつたう白濁!ギャー!!」


この騒ぎの中、赤毛の友人の姿が見えないと思ったら、茂みの陰でのびていた。
手際のいい失神呪文の成せる業だろう。頭頂部がちょっぴり焦げているけども。
これも乙女心ってことかなぁ、と僕は思わず呟いた。
よかったねロン、君はだいぶ愛されているようだ。


怒り狂ったフィレンツェが、その後グリフィンドールの女子寮で人知れず記されている爛れた官能小説を処分できたかどうかは知らない。
が、ともかく僕らは説教地獄から解放され、無事に森から出ることができたのだ。
まったくハーマイオニー様々である。




後日、占い学の教授になったフィレンツェが一部女生徒の熱狂的な支持を得ていたのは紛れもない公式設定だとだけ述べておこう。