魔法少女リリカルなのはA’s〜孤高の改造人間と夜天の主〜
プロローグ
プロローグ
とある練習用サーキット場、オートバイのレース会場を模したその場所を疾走する一つのオートバイ、それを駆る一人の青年、間違いなくプロのオートレーサーの腕だ。おそらく、全日本グランプリレース出場者だろう。暫くすると、オートバイはゴールに近づいていた。
サーキットのゴール地点には一人の中年男性がストップウォッチを片手に持ってタイムを測っていた。オートバイがゴールすると、ストップウォッチを止めた。男は、ゴールしたバイクに跨っている青年に駆け寄った。
「うん、練習の成果が日に日に出て来たな。しかしこの程度じゃあ、グランプリ優勝は厳しいぞ。猛」
“猛”と呼ばれた青年は、その言葉に対して、苦笑いで返した。
「厳しいなぁ、おやっさんは」
青年は、笑いながら言った。
「もう1周してきます。なぁに、今度は10秒短縮してみますよ」
青年=本郷猛はそう言うと、バイクのアクセルグリップを回し、その場を去った。それと同時に男=立花藤兵衛もストップウォッチのスタートボタンを押した。
「全く…ここんところ奴らの動きが無いからこうして練習ができるが…これが何時まで続くか…」
本郷猛、城南大学生化学研究所の優秀な科学者で、全日本グランプリ優勝を目指すこの若き青年は、ショッカーによって改造手術を受け、改造人間にされたが、脳改造直前に大学の恩師緑川教授と共に脱走、緑川教授はショッカーの魔の手に架かったが、彼は教授の意志を継ぎ、仮面ライダーとして、人類の自由と平和を守るために、ショッカーの世界征服計画を阻止しているのだ。たった一人、孤独に…
「(おやっさん、全日本グランプリ優勝は俺の夢だ。だが、俺はその前に、ショッカーとの決着をつけたい。ショッカーの被害者は、俺で最後にしたい)」
そう思いながらコースを走っていると、
「ん?なんだ?」
突然目の前が光り出した。しかも、光は本郷をバイクごと呑み込むように拡大していた。
「あ、ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
気づいた時には遅く、光は本郷を飲み込んだ。
この日、仮面ライダー=本郷猛は、この世界から姿を消した。