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ハイイロの世界

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「…ロ、クーロ!おきて!」
 
ウルサイ。

名前を呼ぶな。

頭がふわふわする。

「おきてってばぁ」 ムギュ。

ぷちっ

俺の何かが切れたオトがした。

「抱きつくなァァッ!!」

いきなり俺に抱きついてきた何者かを跳ね除けた。

…アレ、ココどこだ?

見覚えがない。

あたりは全部ハイイロ。

装飾も、音も、何もない。

と言うか…

「ッあ!?なんでお前がっ」

跳ね除けた何者かは、アイツだった。

白い、アクマ。

俺の一番大事なもの。

「くぅぅろぉぉぉ!!だいすきぃぃぃ!!…じゃなくて、ここどこ!」

「知らねーヨ!いや、それよりなんでお前が…」

「…?どーしたのクロ?顔、まっか!」

目頭が熱い。

まさか、俺が泣くなんて。

「ちっちが…別にお前に会えたから泣いてるとか、そんなんじゃ…あ」

「嬉しいんだぁ!!嬉しいんでしょ??うふうふうふ」

「きもちわr」

「なんか言った??」

「ナンデモナイ」

そんなどうでもいい会話で幸せになっている自分がいた。

「あ、ほんだい!ここどこ!?」

『ここは、ハイイロの出来損ないの世界だよ』

「「!?」」

振り返ると怪しい青年が立っていた。

なんか、怪しい。

頭アフロだし。

「う、うあああ!トモダチせんせぇぇぇ!!!」

「…は?」

そういや、そんなのいたっけな…

『僕はトモダチ先生とやらじゃない。ただの生き損ないさ。』

「…生き損ない?」

『そう。生き損ない。人間に宿るはずだったんだけどね、失敗失敗。ここに来ちゃった。』

ちょっと話が難しい。シロなんか口開いてる。

『まぁ、生まれなかったって話。だから出来損ないの世界にいるんだ。』

まだよくワカラナイ。

「へぇ…で、なんで俺たちがここにいるのか、教えてもらえるか?」

『出来損ないになるため、かな…』

彼は、消えた。

「…ボクってもとから出来損ないなんだけどなぁ」

俺もそうだ。

どういうことだ?

ここは、何なんだ?

疑問しか湧かない。


続くよ(多分)







作品名:ハイイロの世界 作家名:花虎魚