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ひとりねこ
ひとりねこ
novelistID. 41940
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ガラクタノカミサマ

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プロローグ


雨が降りしきる中、疼くまる少年は痛みに顔を歪めた。
焼けるような激痛に目をやると、真っ赤に染まった小さな傷痕が見える。
確認するまでもなく、少年は銃で撃たれたことがわかっていた。
「うっ…ちくしょう…。」
起き上がることができず、歯を噛みしめる。
周りを囲う、数人の男たち。
「諦めろ…。」
頭に響く言葉が、煩わしい。
「うるさい…。」
苦し紛れの精一杯の嫌味。
彼らに対して、意味を為さない。
「諦めろ…麻生ケイスケ…。」
ケイスケと呼ばれた少年。
名前を知られていることすら、彼には腹立たしかった。
こぼれそうになるものを、グッと堪えて拳を握る。
まだ立てる。諦めない。意志を込めて。
「黙れ…。なんでエミが…。」
ふっとケイスケの脳裏を掠めたのは、その名の少女の写真。
彼女は、ケイスケの大切な妹であり、唯一の家族だった。
エミを守るためなら、ケイスケは何でもするつもりだった。
立とうとして、腕を立てる。
しかし、力が抜け、また姿勢がぐしゃりと崩れた。
「カミサマと巫女サマが、私たちを理想郷へと…。」
ケイスケの耳に、もはや男たちの声は届いていない。
どんな理想を諭されても、ケイスケにとって意味を為さない。
「エミを…返せ…。」
男たちの言葉を遮るように吐き出された言葉。
今のケイスケは、この一言が全てだった。
「妹を…返せよ…。」
雨音がケイスケの意識を掻き消していった。
ケイスケを見下す男たちは、それが静かになったことで、言葉をかけることなく去っていった。

作品名:ガラクタノカミサマ 作家名:ひとりねこ