桜日和
私はその人から目が離せなかった。
印象はまさに橙色の人。
「くだんねー事してんじゃねーぞ!このクソ野郎どもが!」
・・・そして、ちょっと口の悪い人でした。
私とあの人が出会ったのは桜が乱れ咲く季節でした。
振り返ったあの人の瞳がとても綺麗で、光の加減でまるで琥珀色で
私は見とれてしまいました。
桜と貴方の組み合わせが私はとても好きでした。
桜の季節は思い出す季節。
あの人と出会った季節。
想い出の季節。
私が16歳の時あの人に出会いました。
お使いの途中、ガラの悪い男に絡まれ困っていたところ助けてもらいました。
腕をつかまれ、怖くなって動けなくなっていた所に鮮やかな色が視界に現れたのです。
あの人は私の腕を掴んでいる人を注意したんですけど、殴りかかってきてしまって
ああ殴られてしまうなんて思ったんですけど、あの人簡単にかわして相手の方を返り討ちにしてしまったんです。
人を殴る音なんてその時初めて聞きました。
私、びっくりしてしまって動けなくなってしまったんですけど、
あの人、その間にも一緒に絡んできていた方を懲らしめてらしたんです。
あまりに一方的で私、止めてくださいましってお願いしてしまったくらいなんですよ。
だって、あんまりにも可哀そうになってしまって。
そう、それがあの人との出会いでした。
あの人の背中がとても大きくて…
そう、人目惚れ…というものなのでしょうね。
私にはあの人がとても輝いているように見えたのです。
いつも少し眉間にしわがよっていて…でも、笑顔が優しい人でした。
私は恋をしました。
初恋でした。
そして私はその人と100年の恋をしました。
その人は黒崎一護さんといってその春護廷入隊したばかりの新人隊士でした。
私はまた真央霊術院の学生でした。
あの人、とても強くてすぐに席官入りしてしまったんですよ。
私、そんなあの人がまぶしくて早く追いつきたくて仕方がなかったんです。
今思えば、当時は背中ばかり追っていたような気がします。
あの人の背中じゃなくて隣に立ちたかったのです。
そんな私をあの人は力強く引っ張ってくれました。
そうして漸く霊術院を卒業して護廷に入隊し、しばらくすると私も席官になりました。
漸くあの人の隣に立てたんです。
あの人が倒れるまでの100年、私たちは恋をしました。
お互い己を磨き護廷の隊長に。
白い羽織りをはためかせ寄り添う二人。
そんな二人の想い出の季節。
桜咲く季節。
毎年、あなたと見る桜。
桜の花びらが舞う中で微笑む二人。
手を取り合い寄り添う陰。
来年も一緒に見るはずだった桜。
果たされなかった約束はいつまでも胸を締め付けるけど、何よりも大切な約束。
約束を果たせないことを悔やむ一護。
でも、愛するものといれた幸せ。
一人にさせてしまう切なさとこれからの幸せを望む気持ち。
望みは笑っていてくれること。
でも、きっと泣かしてしまう現実。
ただただ幸せを願う。
共にいれたことが誇り。
君の生き方が誇り。
君と恋が出来たことが誇り。
君の全てが誇り。
あの人は救護隊として任務に就いた私を庇って倒れました。
先の戦いで負った傷を押して、救護要請に駆けつけてくださったんです。
また私はあの人に助けて貰いました。
今でもあの人の後ろ姿が忘れられません。
一護さん…。
今年も桜の季節が来ました。
桜の季節がきても隣にあなたがいないことが苦しく辛いのです。
けれど、貴方が誇りだといってくれた生き方をします。
私を誇りだと言ってくれた私を誇るのです。
我が背の君。
愛した人。
隣にいない貴方が恋しい。
でも、恋しく思う気持ちがあることに安堵してもいるのです
だって…
私はいまでも貴方に恋をしている。
一護さん
私は貴方が恋しい・・・・
そうして
時は巡り巡り巡る。
魂は巡り巡り巡る。
出会いは再び
結ばれた絆が手繰り寄せる