Angel Beats! ~君と~
毎日、寝て
毎日、同じ天井を見て
毎日、友達のノートのコピーを書き写す
毎日、効果が有るのかどうか分からないリハビリ
毎日、お母さんに迷惑をかけてしまう
毎日、テレビの何かしらの番組を見て
だが、そんな日常にある変化が訪れた。
コンコン
「はーい」
ユイのお母さんはドアに近づきドアノブを回した。
「あら、来てくれたの?」
そこにいたのは病院の窓を割った一人の日向がいた。
「あ、ひなっち先輩」
「よっ、元気にしてたか?」
お互いは気軽に挨拶する。
「はい、日向君、椅子どうぞ」
ユイのお母さんは何処からともなく椅子を出した。
「その椅子何処から出したんですか?」
「まあまあ、小説なんだから何でもありなのよ」
なんて事を言うんだ。
「ちょ、お母さん」
「それ、爆弾発言ですよ!」
二人共、ナイスフォロー。ありがとうございます。
「まあまあ、良いじゃない」
そう言うと溜め息をついた。
「あっ、日向君」
「何でしょうか?」
「ちょっとこれから仕事行くんだけど、その間にユイの相手をして貰えるかな?」
「用事が無いので良いですが、俺なんかで大丈夫ですか?」
「日向君だから頼んでいるのよ。じゃあ、行ってくるねユイ」
「気をつけてねお母さん」
「行ってきます」
ドアノブを回し、すぐに部屋を出て行った。
これで日向とユイの二人きりになった。
「そう言えば何で『ひなっち先輩』って言うんだ?」
「何でですか?いけないんですか?」
「いや、気に――――――」
(『ユ・イ・にゃん☆』)
(!?)
「どうしたんですか?」
「いや、何でも!」
そう言ってる割には何故か焦っていた。
「そうなんですか」
ユイは笑顔を作った。
(ヤベぇ、可愛い。何なんだこの笑顔!)
太陽が重なってるせいか、さらに笑顔がパワーアップして見えた。
「ひなっち先輩?」
「なんだ?」
無理に我に還るとユイに反応したが顔が熱かった。
「顔、紅いですよ」
「そんなこたぁ無いぞ!」
「なら良いんですが・・・・・」
心配そうな眼をしてこちらを見てきた。その姿も可愛いかった。
「なあ、ユイ」
「はい?」
「俺とユイ、何処かで会わなかったか?」
「どうして、そんな――――」
(『60億分の1の―――――――』)
「ユイ?」
「へ?あ、ごめんなさい。私もそんな気がします」
「そっか」
背伸びをすると、また同じ体勢に戻った。
だけどユイと会った気がする、随分と昔に。
「それだけですか?」
「ん?他にも有るぞ」
「何ですか?」
「俺達、何か『約束』しなかったか?」
「『約束』?」
「ああ」
「何かし―――――」
(『また60億分の1の確率で出逢えたら――――――――――――――してやんよ』)
「どうかしたか?」
「この言葉、聞いた事ありますか?」
「へ?」
60億分の1の確率で出逢えたら、
これがその『約束』かもしれない、心の底から想っていた。
だが、聞けない。
「言葉って何だよ?」
今、目の前に、約束した本人が居るのだから。
作品名:Angel Beats! ~君と~ 作家名:幻影