Angel Beats! ~君と~
「言葉って何だよ?」
ユイは躊躇った。
『60億分の1の確率で出逢えたら―――――』
『結婚してやんよ!』
本当かどうか分からない。『約束』したかもしれないが、分からない。
あの夢も、
「ユイ?」
「やっぱり、何でも無いです」
聞けなかった。
「そっか」
「気にならないんですか?」
また日向は背伸びをした。
「ああ。ゴメンな変な事、聞いちまって」
「いえいえ」
夢は夢にすぎなかった。
『いたって健康だよ』
(大丈夫なのか、俺?)
結弦は先生、いや医院長の言った事を思い浮かべて病院の廊下を歩いていた。
「あ、お兄ちゃん」
「初音?どうしてここに?」
ばったりと廊下で初音に会った。
「どうしてってユイさんに会う為に来たんだよ」
ここの病院は父親代わりの先生の病院でもあり、そこそこ名前が知られている病院。
そんな所に一人の少女、ユイが居る所である。
「そう言えば、ここに居るんだったな」
「お兄ちゃんも行くよね、ユイさんの所に」
「そうだな。どうせこの後暇だし」
「じゃ、決定。行こうよ」
初音は結弦より小さな手で手を取ると走り出した。
「ひなっち先輩」
「何だユイ?」
「初めて会った日、何で私の名前が分かったんですか?」
「それは・・・」
「何でですか?」
「ユイもなんで分かったんだ?」
(『戦力になりますよ~』)
(今のは?)
「それは、先輩が――――」
コンコン
言い掛けようとしたらドアから音がした。
「はーい?」
ガチャ
「ヤッホー、ユイさん。あっ、誰だっけ?」
「日向だよ初音」
(俺ってそんなに・・・・)
日向が軽くショックを受けている間に二人は入っていった。
「初音ちゃん、それに音無先輩来てくれたんですか?」
「よ、ユイ」
「ねぇ、お兄ちゃん」
「何だ初音?」
「何でユイさんの名前知っているの?」
(同じ事を聞いてら)
日向はユイと同じ事を言う初音に少し笑った。
(音無先輩、何て言うのかな?)
ここにも一人いた。顔に表してはいないがユイも何故かワクワクしていた。
「それは、分からないんだ」
「じゃあ、どうして名前を当てる事ができたの?」
「分からない。ただ、」
「ただ?」
「いや、何でもない」
懐かしい気がした。
言おうと思ったが何かバカにされそう、という気持ちがあって言えない。
作品名:Angel Beats! ~君と~ 作家名:幻影