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【TOS】朝の散歩【クラアン】

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私が見る夢は、いつも悪いものだった。本来持つ寿命よりも長く生きてきた私達の眠りは浅く、快いものではなかった。そうして私はいつしか眠るのをやめた。
スッと何かが頬をなぞる感覚がして、眩しい朝日に抗って重い瞼を持ちあげると、目の前にアンナの顔があった。
「やっと起きた。」
そういうとフフッと笑い、ベッドから腰を上げ、台所へと向かう。
彼女と共に暮らし始めてもう数か月が、そして私がこうやって眠るようになってから一ヶ月が経とうとしている。

食器がカチカチと鳴る音だけが食卓に響く。私達の食事は、基本的に静かだ。別に険悪なわけではなく、ただひたすら静かに時が流れている、そう私は認識している。
彼女の作る食事は今日もどこか焦げっぽかったが、口出しをしたり”代わりに作る”などと言うと彼女の機嫌を一日損なってしまうため、パンの耳と共にのみ込む。先程窓を開けた時に感じた心地よい風は、喧嘩をするにはもったいない日だということを告げていた。

「ねえクラトス、今日は向こうの川まで歩いて行ってみましょう?」
「そうだな…。」
朝飯を食した後の散歩は、ここのところ毎日続いている。
共に逃げている身、もし見つかってしまったらと考えて家に籠るという生活が続いたのは最初の一週間までだった。次第にその距離は長くなり、そのたびに彼女は新しい発見をした。
初めは澄んだ空気に触れられるというだけで喜びの声をあげ、落ち葉を足で踏んで笑い、木の実を拾っては「これは食べれるかな」などと一人で悩み始めた。

数日前に食べ物を調達するために森を歩いていた私は小さな水音を聞いた。小屋の近くに井戸はあったが、もしももっと綺麗な水があるというのならばそちらを利用したい。そう思いその音がする方向へと向かうと澄んだ川が流れていた。
そのことを伝えると彼女は目を輝かせて「私も行きたい」と言いだした。

特に会話もせず、森林をゆっくりと二人で歩いていると、彼女の腕が私の腕に絡みついてきた。
「どうした」
「ううん、何でもないの。」
そういうと彼女はまたフフッと笑い、また静寂が訪れた。
そしてやがてかすかな水の音が聞こえてきた。もうすぐ目的地に着くだろう。
彼女は私の腕にぴったりとくっついたまま足を早めた。