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手をつなご。

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昨日から降り続けた雪が地面いっぱいに降り積もり、辺りは真っ白になっていて、いつも通っている通学路と違って見える。
「寒いね、静兄。」
そう言う帝人は寒そうに身をブルッと震わせてはあ、と両手に息を吹きかける。
帝人の鼻が少し赤くなっているのを見ると、よほど寒いであろうことが分かる。
「帝人、両手出せ。」
帝人がきょとんとしながらこお?と出した両手に自分が付けていた手袋を付けてやる。
「ダメだよ!これじゃ静兄が寒いでしょ?」
気遣ってくれる帝人の頭を撫でて歩き始めた。
帝人は納得がいかないようで少しうーん、と悩んだ様子で俺の隣をしばらく歩いていた。
そして、ふいにあっ!と声をあげて俺の服の袖をクイ、と引いた。
「静兄、左手出して?」
不思議に思いながらも帝人の言う通り左手を出すと、さっき付けてやった手袋の片方を俺が差し出した左手に付けて満足そうに微笑んだ。
「帝人、これじゃ片手寒いだろ?俺のことはいいから付けとけ。」
「大丈夫だよぉ。もう片方の手はこうすればいいんだから!」
帝人はきゅ、と俺の手を握るととても嬉しそうな顔をした。
「帝人・・・」
「ん?なあに?」
「い、いや、その、サンキュな。」
「うん!」
帝人の手の温もりが心地よく伝わってくる。
ぽかぽかと体に伝わる熱は帝人の手の体温だけではないような気がした。
ふと目が合うと微笑んでくれる帝人の笑顔が俺の心までぽかぽかと温めてくれる。
(この時間がもう少し続けばいいのに・・・)
帝人も同じ気持ちでいてくれたらいい、と帝人の手を握る手に少し力を込めて願った。

目覚めたこの感情の名前は・・・?
作品名:手をつなご。 作家名:にょにょ