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第2話 守りたいもの

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「危ない!!」
「あっ…!」

 放たれた大量の水流から光子郎を庇う形でテントモンが前に進み出る。
 が、成長期の体では到底抑えきれる力ではなく、後ろにいた光子郎ごと後方へ倒れた。

「こ、光子郎…」

 直撃を防ぐことはできたが結局光子郎を守れたわけではなく、テントモンはうなだれた。
 こんなことで彼を守っていくことなどできるのだろうかと。

 でも…守るって、どういうことやろ?

「光子郎、しっかりしてぇな…!」
「う…、テントモンこそ…大丈夫なんですか?」

 びしょびしょに濡れた体を起こしてやろうとしたが、その力すらテントモンにはない。
 手を貸そうとしたつもりが逆に心配される始末。
 とことん、情けない。

「すんまへん、やっぱこのまんまやと光子郎を守れそうにありまへんわ」
「…、何言ってるんです?テントモン、僕のこと守ってくれたじゃないですか」
「ええ?」

 いつそんなことをしたのか。
 テントモンは光子郎の言ったことが理解できず首を捻る。
 その様子に光子郎も不思議がって同じような返事をした。
 その間に、周りの戦況に変化が起きた。

 シェルモンの手の下で何かが眩しい光を放ち、膨れ上がる。

「アグモン進化!グレイモン!!!」









 太一のグレイモンの活躍によりシェルモンは沖へ吹き飛ばされ、浜辺にいる子供達の危機は過ぎ去った。

「テントモン」
「はいな」
「何も、戦うことが僕らを守ることにはならないと思いますよ」
「そうなんでっか?」
「やっぱり、そういう考えだったんですか…」

 呆れたようなしかしそれだけの意味とは取れないため息をつき、光子郎は続けた。

「守ることは、その姿勢。君が僕を攻撃から助けようとした、その行動自体が守ることなんですよ」
「でも光子郎。光子郎はあの時ケガとかしたんやないか?そんなんやいけない思うんや」
「テントモン…」

 そっと手が伸びてきて、テントモンの頭を優しく撫でる。

「最初っから完璧にするのは難しいんです。失敗あってこその成功ですよ。ちょっとずつ強くなればそれでいいんです」
「光子郎…」
「それに、僕は少しくらいの怪我は大丈夫ですから」
「わて…」

 不安そうに問いかけてきたテントモンに光子郎は手の動きを止める。

「努力しますわ」
「頑張ってください、テントモン」

 テントモンの頭から手が離れた。

作品名:第2話 守りたいもの 作家名:かしわ乃