…After
エイプリールフールに送った一通のメール。
書いたのは、たった一言
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件名:(なし)
本文:帝人なんてだいキライだっ!
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そして、これが帝人の返信。
うん、あいつらしいすごくシンプルな一行目。
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件名:紀田君て
本文:四月馬鹿だね。
……でも、僕もその言葉を
送ろうとしたから、一緒かも。
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その後に付け足されたものに、思わず頬が緩んでしまう。
もしかして、あいつって天然?
うん、天然だな。
さて、日付も変わったことだし
俺からのメールを送りますか。
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件名:バカになってた(>ω<)ノ
本文:なので許してー
ゴメンナ・・<(。_。)>ゴロン<( )>
ンッ?<(゜_ ゜)>一回転シチャッタ(〃_〃)ゞ
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はい、送信っと。
さて、なんて返してくるかな。
『嫌い』だっていう嘘を送ろうとするくらいに、俺の事を想っている事。
さっきのメールに滲んでいた感情を読みとる。
きっと帝人自身も気付いていない、俺に対する想い。
気付いて欲しいけど、気付いて欲しくない。
真面目過ぎるあいつだから、きっと軽くなんて受け止めないだろうし。
だから、帝人。
絶対に気付くな。
もし気付いたら
……離したくなくなる。
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件名:謝ってるけど
本文:まじめじゃないよね。
僕はいいとして、少しは真面目な部分
見せないと女の子に呆れられるよ。
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何処か辛辣なものが嬉しいだなんて、俺もたいがいじゃないですか。
うん、こうでないと。
俺は女の子大好きな正臣君だから。
そう思ってくれた方がいい。
ああ、早く会いたい。
会ったら、昔みたいな笑顔になれるかもしれない。
「好きだぜ、帝人」
文字に出来ないものを、俺はそっと呟いた。