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Fate/Hell's feel 間桐士郎の聖杯戦争

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 サーヴァントは霊核である頭部と心臓以外では致命傷足り得ない。だがアーチャーは弓兵の命、肩を抜かれて戦闘不能となった。

「アーチャー!宝具を!」
アーチャーはライダーとの戦いで既に第7節まで唱え終わっていた。
「……so…play………un」





「そこまでだ。やれ、アサシン」
 黒き影が凛を押さえつける。そう、暗殺者はずっと近くにいたのだ。

 ここに、決着はついた。

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「・・・負けたわ。ライダーの真のマスターは桜。そう思っていたのに・・・」
「俺はマスターとして凡百だから、聖杯戦争には呼ばれないと?
 それともうっかり頭数に入れ忘れたか?」

 士郎は偽臣の書を取り歩き出す。本にはもはや令呪は浮かんでいなかった。
この書は士郎が自分の令呪を使って創りだしたもの。手に取るだけで令呪は回収できた。

「遠坂。以前、お前は俺と桜の手に令呪がないか、催眠で確認してきたよな。偽臣の書を作り、マスター権を放棄すれば令呪が消えるともしらずに」
「・・・ええ。でも慎二がマスターを名乗りでたとき、桜が戦いを嫌ったから権利を受け継いだと言った。間桐君は障害にはならないと思っていたわ」

「結果はこのザマだな。2つ教えてやる。柳洞寺の侍とキャスターを殺したのはそこのアサシンだ。そいつのマスターは俺の協力者でね。ついでに、遠坂が最も警戒していたバゼットとランサーも殺した。今回と似たような手口でな」

 アサシンの短刀を首に当てられた凛、ライダーに拘束されたアーチャーは全く動けず、話を聞くしかなかった。

「2つ目。マスターは結論でいえば俺であり桜だ。
 変則召喚って知ってるか?令呪を宿す役と魔力を供給をする役を二人に分担する術だ。令呪は俺、供給は桜」

 ここまで言って凛も理解したようだ
「・・・既に召喚されたアサシンを召喚し直すデタラメ。変則召喚。・・・ここまで聖杯戦争に明るい魔術師といえば・・・・・・・・間桐臓硯しかいない」
「正解。今までのは軽いスキンシップ。
 ここからが本題だ。そこの弓兵、以前会ったとき面白いことを言っていたな?これからする質問に答えれば遠坂は助けてやる・・・っと慎二、そろそろ自分で立て」


 そう、
「俺のことを衛宮士郎って呼んだよな?」

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「・・・・・・で、だ。監督役の言峰に聞いたところ、衛宮切嗣という魔術師が第四次聖杯戦争に参加したらしい。今も存命中で、どこかに住んでるとか
 ここで俺は考えた。間桐士郎の俺を衛宮士郎と呼ぶそこのサーヴァントは何者か、と」


「お前、俺か?」



 弓兵は沈黙する。ややあってライダーが両腕を折った。
「答えなければ私も凛も死ぬのみか・・・」
 弓兵はこの状況で不敵に笑っていた。
「貴様の予想通り、私の真命はシロウだ。未来のお前だ。ただし、私は衛宮切嗣の養子として育った」
 なるほど。全てはあの火災から分岐した、と。
「分かった。単刀直入に聞くぞ。____はどこだ?」


 その質問は弓兵を喜ばせたらしい。まだ彼は笑っていた。
「なるほど。____は____にいる」

 その質問は彼を悲しませたらしい。そうでもないようだが。
「そういうことか。もういいぞ、ライダー」
 ライダーは杭を突き刺す。今度は心臓に。
 アーチャーの体は消滅を始めた。

「最期に聞こう。間桐士郎、この聖杯戦争になにを求める」
「何も」
「間桐士郎、お前は自身に何を求める」
「何も」

 その答えはアーチャーを安心させたらしい。心のない士郎が認識するほど彼は安堵の表情を浮かべていた。
「安心した。契約の履行を期待しよう」
 士郎はもうアーチャーを気にしていないらしく、慎二に肩を貸して歩き始める。アーチャーはそんな彼を大層哀れに思いながら凛に顔を向ける。
「すまないがマスター、・・私は・・・・ここまでだ。
 だ・が・・道が閉ざ・・れたわけでは・・ない
 まだ・・彼女が・・・る」

「アーチャー!」

 士郎は慎二を抱えたまま、もう用はないので出口をくぐろうとして、最後に振り返った。そう、暗殺者は何人食べたのだったか。もう少し味方は強くあって欲しい。
(・・・一応、臓硯にポーズは必要だよな)
「アサシン、消えない内にアーチャーを食べておいてくれ」
「・・・・承知」

 手刀で遠坂を昏倒させてからアーチャーの霊核を貪る。肉体改造と呼ばれるアサシンの技術だった。すでに槍兵、魔術師を取り込んでいるアサシンは益々強くなるだろう。

 

 完全勝利者が階段を下り始める。
 こうして聖杯戦争七日目は終了した。

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「士郎って馬鹿だけど、なんでも言うこと聞いてくれるよな」

 それが慎二が初めて俺に示した好意だったのだと思う。
 間桐士郎という男を端的に表すなら”滅私”だろう。

「お前は異常なんだよ」

 慎二の言葉だ。以後、慎二が士郎に何か仕掛けるようなことはなくなった。本人の興味がなくなったのか、期待した反応をいつまでも示さなかったからか、とにかく彼は士郎を受け入れたのは間違いなかった。

「僕が手綱を握ってやるよ。まず、僕の命令は聞け。他人の言葉には耳を貸すな」

 士郎は実践した。別に逆らう理由もなかったし、理由があっても逆らう気にならなかっただろう。
 次の日から士郎は同級生から迫害を受け始めた。昨日までなんでもいうことを聞く男の子は機械のように押し黙って誰の命令も聞かなくなったからだ。
 
「あいつとそうあのハゲにみたいな髪型のやつ、あとはお前の前の席の男といつも取り巻きにいるやつら。今言った連中の言葉は聞かなくていいから。他のやつらは・・・まぁ、そこそこ有益だから話してもいいぜ」

 士郎はいじめていた人たちに呼び出された。喧嘩を仕掛けられたらやり返せよ、と言われていたので反撃する。10人もの相手に叶うわけもなかったが士郎は怯まなかった。

 ほどなくして先生が慎二と一緒に来た。あとは大逆転だった。慎二は味方を増やして複数で彼らを弾劾した。先生も10人がかりで1人によってたかる姿を見ていたので彼らに勝ち目はなかった。

 それから士郎が攻撃されることはなくなった。別にイジメられていたわけではない。誰だって無視されれば怒るだろう。彼らはただ気分良く士郎を使役していただけのつもりだった。慎二にとってはそのしがらみが後々、障害になるだろうから排除した。それだけ。

 士郎は地位を得た。イジメに耐えられなくなって反発した男の子の印象をその事件はクラス中に与える結果となったからだ。