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運命の鎖

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月光の射す部屋の窓に美しい女性が立っていた。
戦いが始まる。もう後戻りはできない。
後悔するならば、この自分の許されぬ想い。
人の気配を感じ、リリアーナが振り向くとルスキニアがいた。
青白い光に染まった、美の女神を思わせるような彼女のしなやかな肢体にルスキニアは少し目を逸らした。
「明日は戦いだ、もう休んだ方がいい。我々の目的は分かっているはずだ。」
リリアーナは静かに頷き、ドアへと向かった。彼の横に立つと、漸く口を開いた。
「あなたの願いは、もしかしたら叶うかもしれません。でもその後、あなたの未来はないでしょう。」
ルスキニアへの恨みと悲しみがこもったその言葉は彼の心に重く響いた。
彼女の甘い香りが男の鼻腔をかすめる。残酷なほどに可憐な乙女の唇は、けっして世界の敵である男の唇と触れ合う事はないだろう。
「望むところだ。リリアーナ。」
長い髪を揺らしながら、罪という名の傷痕をその身に刻み込んだ美女は闇に消えていく。
こんな時代でなかったら、彼女とは別の出会い方をしていただろうか。
友人として、いや、全ての祝福を受けて愛し合う事ができただろうか。
ルスキニアは苦笑した。一体自分は何を考えているのだろう。
修羅の道をゆく自分に愛など必要ない。
男は漆黒の夜空を見上げた。彼の本当の心を知るのは、暗く静寂な暗闇に輝く月のみ。

廊下を静かに歩きながら、リリアーナはルスキニアに惹かれていく自分を抑えていた。
トゥラン王家の者であるかぎり、あの逞しい腕に抱かれる事はないのだ。
ああ、もし叶うのなら。
彼女は目を閉じ、顔を天へと仰いだ。

この身を何の柵も穢れもない、湖の底に沈めてしまいたい。
作品名:運命の鎖 作家名:rena