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それぞれの道へ

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Ⅰ最後の夏休み

「(早ぇな、もう夏休みか・・)」
才蔵は頬杖をつきながらぼんやりと考えていた
思えばこの2年半驚かされてばかりだった
3年になった今
今度こそゆっくりしていたいものである
そして、今年才蔵はしたい事がある
それも一生に一度しか出来ない事だ
少し先だがそろそろ準備に移らなければならない
「では、体育館にいくぞ
特にお前ら3年生は心して聞け」
十蔵のその声に、才蔵は一旦考えるのをやめにした
くーかー、くーかー
「ッまだ起きてねぇのか、こいつ」
才蔵が呆れて振り返ると、豪快にいびきをかいて寝ている鎌之介の姿があった
そう、彼女は学校に来てからずっと寝ているのだ
「オイ、起きろっ鎌之介」
そう言って頭を軽く叩く
が、起きる気配は全く無い
「才蔵?」
声に振り向くと、そこに佐助がいた
ついて来ていない才蔵達を心配して戻って来たらしい
「佐助・・悪りぃ、もう少しこれに時間がかかる」
才蔵がこれ、と言って指を指したのは無論、熟睡中の鎌之介である
「才蔵、我、起こす」
佐助は鎌之介の前に来る
「?どうやんだよ」
その問いには答えず、左右交互にある腰下げバッグを開く
「雨春、多雨」
それに呼応して出てくると佐助の肩に左右それぞれに乗る
「鎌之介の耳、噛め」
二匹は佐助の腕を伝い、鎌之介の肩に移る
そして、耳元によると息ぴったりに噛む
ガブッ
そんな音が聞こえた
「〇×★△っ!?〇△★×っ!?
いっっってえぇえぇぇえッ!!!」
起こし方が少し残酷だ。
佐助はこんな可愛い顔をして、実は容赦なしの一面を持つ恐ろしい勇士の1人なのだ
「テメェぇぇぇ!!何しやがるッ!!この緑!!」
あんな思いっきり噛まれても怒鳴る元気があるらしい
「起きない、お前、悪い」
「あぁんっ!?殺んのか、コラっ!!」
どこから出したのか重りのついた鎖鎌を振り回し始めた
そして重りの方を佐助の顔めがけて投げつける
佐助は一直線にのびてくる鎖に苦無を構えたが
直後、その必要も無くなった
才蔵が咄嗟に掴んだのだ
「あ?邪魔すんなっ!!才蔵!」
「お前、佐助には手ぇ上げんなつったよな?」
才蔵の眼に鋭い光が差した
すると、突然鎖を引っ張り鎌之介を反対側の壁に叩きつけた
「がッ!!」
「何をやっておるっ!!才蔵、やめぬかっ!!」
十蔵もいつの間にか戻ってきていた
「筧、サン?」
才蔵は鎖を持つ手を緩めた
「何があったのかは知らんが、手加減を覚えろ」
「悪りィ、つい・・な・・」
「ついでも何でもやりすぎだ!!」
十蔵はチョークを手に取ると、才蔵の額めがけて投げつけた
かこーん、そんな効果音がつきそうだ
そして、見事のクリーンヒット
「ってぇ!筧サン、それはやめろって!!」
「フゥ、まぁよかろう。これぐらいにしといてやる」
「いくつ当てるつもりだったんだ!!」
「十発ぐらいと言ったところか」
「死ぬ!!」
佐助はそのやり取りを見ながらも、いつもの才蔵が戻って来た事に安堵の溜息をついた
作品名:それぞれの道へ 作家名:武麗威舞