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まんじゅう
まんじゅう
novelistID. 43064
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七月八日

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ある休日。
チャーとシンジは駅前まで買い物に来ていた。チャーが愛用してるメーカーから新作のバッシュが出たからだ。

「結局なーんも買わなかったな」
「ん~やっぱ高いんだよなぁ。今回のニューモデルはデザイン気にいってんだけど」
「じゃ即購入だろ」
「いや今月は好きな歌手の・・・あ、前言ってたやつ。そのアルバムも出るんだよね~」

価格は知っていたものの、一応足を運んだスポーツ用品店。
デザインは気にいるものだったが財布との相談の結果、購買意欲をそそられに来ただけで終わってしまった。

「チャーこの前服も買ってたよな。ならもう金欠か」
「そ。あーあ、バイト増やしてぇな」

そう言って欠伸を一つ。
言っていることとやっていることが違っているようにも思うが、チャーが眠たそうにしているのはいつものことだ。

「そりゃ無理だろ。歩ちゃん張り切ってるし、練習増えることはあっても減ることは無いって」
「だよな。あ~バイトしてぇ!」
「でもそれも結局部活のためなんだよな」
「あ、ホントだ」
「それで練習減ってたら本末転倒じゃねーの」
「マジでな。うわぁ暑ぃ・・・」

ビルから出ると眩しいくらいの日差し。もう昼も近い。
店から出た足でそのまま寮に向かうと、チャーの眼にある光景が止まった。

「笹・・・」
「ん?あぁ、昨日七夕だったもんな。その片づけなんじゃねぇの」
「ふーん、昨日だったんだ。天の川見えてたのかな~~なんて」
「昨日曇ってただろ。てゆーかチャーってそういうの信じるタイプだったのか?」

冗談めかしてシンジが言う。
その言葉にチャーの歩みが止まった。

「オレさ。昔、短冊に願いを書くと叶うって、本当に信じてたんだ」

そう言ってまた歩き出す。
呆気にとられたシンジも少し遅れて後に続く。
斜め後ろから伺い見たチャーの表情にはいつもの笑みがない。

そしてお互い無言のまま寮に到着した。
部屋に入るとすぐさまベッドに腰掛けたチャーが、「さっきの続き」とだけ言った。
シンジはドアを閉めるとイスに跨って座る。
すると、チャーがぽつりぽつりと語りだした。


――幼稚園か、小学校低学年くらいだったと思う。
両親が離婚寸前ってところまでいってたんだ。
昼間はそうでもないんだけどさ、夜とかたまに起きると怒鳴り声が聞こえたりしたから。
オレさ、ませた子どもだったから、当時からなんとなく離婚って言葉知ってたんだ。
正確な意味までは分からなかったけどさ、なんとなく両親が離れるってことだとは分かってた。
ドラマとかそういうのをたまたま見たのかもしれない。
だから七夕が近付いて、皆で短冊に願い事を書く時にオレ書いたんだ。
『おとうさんとおかあさんがりこんしませんように』ってさ。
そしたらホントにケンカが無くなってさ。だから、ホントに願いが叶うんだって思った――


そこまで話すと買ってきたペットボトルに口を付ける。
そんなチャーからシンジは目が離せなかった。

「でも今思うと当たり前だよな。そんなこと書いて先生が何もしないはずないし」
「・・・あぁ、なるほど」
「たぶん、先生が親に連絡したんだよな。息子さんがこんなこと書いてますって」

歳を重ねるごとに魔法が解けてゆく。
幼い頃感動した出来事が、今では何でもないことのように過ぎてゆく。
あの頃、確かにあったハズの世界は、今はもう無い。

「今も親、離婚してないんだろ?」
「子は鎹(かすがい)ってホントだよな」

答えになっているような、なっていないような。

「ま、願い事が叶う、とまでは言わなくてもさ。七夕って何か特別なことが起こる日なのかもしれないな」
「何、急に」
「星が願いを叶えてくれた訳じゃなくても、チャーが願いを書いたことによってチャーの周りは確かに変わったんだよ。それって、七夕って行事があったからだろ」

たとえ先生が短冊を見たことで起きた出来事でも。
短冊に願いを書いたことで、変わった事実。

「願い事って、1日遅れでも間に合うんかな」
「何だよシンジ、急にロマンチストになっちゃって~~!」
「ん、俺も願い叶えて貰えばよかったと思ってさ」
「・・・もう一緒にはいないだろ、織姫と彦星は」
「・・・・・・そうだな」

チャーの横顔にシンジは呟いた
作品名:七月八日 作家名:まんじゅう