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ゆらのと

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「ヅラには会ったアルか」
神楽が聞いてきた。
「ああ」
夜をともにすごし今朝まで一緒にいた。
それを思い出した。
「元気にしてたアルか」
また神楽が聞いてきた。
しかし、今度は返事せず、銀時は眼をそらす。
「桂さんはずっと囚われの身ですから、さすがに元気というわけにはいかないでしょうね」
いたわるように新八が言った。
「絶対に助けるアル」
ボソッと神楽がつぶやいた。
その声には強い決意が宿っていた。
自分も同じことを、桂に言った。
そう銀時は思い、少し苦笑する。
「……そーいや、この屋敷には他にも無理矢理つれてこられて監禁されてる者たちがいるらしい。そいつらを助けるつもりらしーぜ」
桂から聞いたことを話した。
ふたたび、ふたりのほうを見る。
「それは、そうですよね、そのひとたちも助けないといけませんね」
新八はきりっとした顔つきをしている。神楽も同様だ。
もちろん、銀時にしても、桂だけではなく他の被害者も助けたいと思う。
だが、状況がもっと難しくなったとも感じる。
「あ」
新八が声をあげた。
その視線の先は低木の向こうにある。
さらに噴水の向こう、四阿に、桂が女の使用人とともにやってきた。
使用人は、昨夜、桂の部屋で見かけた女だ。
桂は四阿の屋根の下に入ると立ち止まり、庭を見渡した。
いつも以上に堅い表情をしている。
その顔を、銀時は低木の陰からじっと見つめる。
「それにしても」
ふと、新八が言った。
「こうして見ると、本当に桂さんって綺麗ですね」
いつもと違う格好をしているからかもしれませんが、と付け足した。
桂は和装ではなく、この国の衣装を身にまとっている。
どうやらこの国の者は色を多用するのを好むらしく、その衣装は華やかだ。
そして、夜の闇を閉じこめたような黒髪の一部は頭のうしろで結われ、そこにかんざしが挿されている。
顔の横には結われていない長い髪が流れているが、その白い頬と黒髪のあいだに、耳飾りがきらめきながら揺れているのがチラリと見えた。
おそらく女の格好をさせられているのだろう。
けれども、違和感がまったくない。
むしろ、様になっている。
女の格好がというだけでなく、その見るからに高価そうな衣服や装身具に位負けすることなく自分の引き立て役にしてしまっている。
本当に綺麗だ。
そう認めざるをえない。
綺麗なのは良いことだろう。
しかし、複雑な気分になる。
その高価なものを桂に身につけさせているのはこの屋敷の主だと思うと、イラだちを覚えた。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio