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ゆらのと

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「やっぱり、僕はいつもの桂さんのほうがいいです」
新八が前言をひるがえした。
さらに続ける。
「だから、みんなで取りもどしましょう」
「ウン」
神楽がうなずく。
「それで、みんなで江戸に帰るアル!」
跳ねるように夜兎族の少女は宣言した。
江戸が帰る場所なのか。
銀時は、内心、笑う。
自分を責めて、悔やんで、沈んでいた気分が、少し晴れた。
「神楽ちゃん、声がちょっと大きいよ」
「おっと、いけねえ」
一方で、新八と神楽は江戸にいるときのような軽やかなやりとりをしている。
地球から遠く離れた星にいて不安がまったくないはずがないだろうに。
危ないことには巻きこみたくない。
別行動を取って、自分が先に宇宙船に乗りこんで、もしかしたら新八と神楽は間に合わないかもしれないと思った。
しかし、あのとき、それはそれでいいような気がしていた。
けれども、今は、間に合って、ついてきてくれて、良かったと思う。
ふと。
銀時の視界の隅に宇宙海賊が入ってきた。
「……俺ァ、行くわ」
小声で、新八と神楽に告げた。
三人でいるところを宇宙海賊に見られるのは、マズい。
「じゃあ、またどこかで連絡を取りましょう」
「銀ちゃん、気をつけるアル」
「そりゃ、こっちの台詞だ」
銀時はそっと立ちあがり、新八と神楽を置いて、歩きだす。
目立たないよう心がけながら進みつつ、チラッと四阿のほうに視線を走らせた。
桂は椅子に腰かけ、使用人となにか話している。
その姿が脳裏に焼きついた。
銀時は眼をそらし、まえを向く。
足の横にある手はいつのまにか拳に握っていた。
必ず、助ける。
そして、みんなで江戸に帰るのだ。










作品名:ゆらのと 作家名:hujio