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ゆらのと

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脅迫状の存在は、桂も、万事屋が爆破されるまで知らなかった。
銀時がひとりで抱えこんでいたのだ。
だが、脅迫されていた事実を銀時から聞いて、別れることを決めた。
結局は銀時と同じで、新八や神楽には知らせないでおこうと判断したのだった。
教えてほしかったと言う神楽の気持ちも理解できるので、桂は困り、黙りこむ。
「水くさいんですよね」
新八が言う。
「腹がたったので、殴っておきました」
「私もアル」
殴った。
もちろん、その相手は銀時だろう。
あ、と桂は思う。
寺の境内に呼びだされたとき、銀時の両方の頬が腫れていた。
あのとき、どうしたのか桂はたずねた。
ガキどもに殴られた。
そう銀時は答えたのだった。
それにしてもアイツら手加減しねェんだからな、とも言っていた。
ガキども、とは新八と神楽のことだったのだろう。
あれより少しまえに銀時は手を打っていたのだ。
危ないことほど自分ひとりで抱えこみたがる銀時が、このふたりに事情を打ち明けて協力を求めていたのだ。
それは間違いなく、桂のため、だ。
カッコつけてる余裕はなかった。なりふりなんざ、かまってられなかった。アイツらは強ェし、信頼してる。だから、協力を頼んだ。
護りてェもん護るためには、どうしたらいいのか、必死で考えたんだ。
夜、銀時に言われたことが、耳によみがえった。
心が揺れる。
ここにいない銀時の腕の中で護られているような不思議な感覚におちいった。
「殴ってスッキリしましたし、僕も神楽ちゃんもやりたいことをやっているだけで、桂さんからお礼を言われるようなことはしていませんよ」
新八の隣で、神楽がうなずく。
「私はヅラが江戸にいないとつまらないから、つれて帰るために動いてるアル」
「それと、銀さんから聞いたんですが、他にも無理矢理つれてこられてこの屋敷に監禁されているひとたちがいるそうですね。そのひとたちも助けたいです」
「そのひとたち、どこにいるアルか」
そう問われ、桂はトアラに案内されて見た地下の光景を思い出した。
「……あそこには近づかないほうがいい」
遊郭に似せて作った格子の向こうには、遊女のような格好をした薬漬けにされたひとびとがいた。
あの光景をこのふたりには見せたくないと思った。
「宇宙海賊の中に潜りこんでいるんだろう。あそこに近づいているところをだれかに見つかれば、問題になって、正体がばれるかもしれない」
「でも」
神楽は言い返そうとする。
「もうそろそろ行ったほうがいい」
それをさえぎって、桂は言う。
「どこかでだれかが見ているかもしれない。あまり長々と話していたら不審に思われる。それに、俺に付いているこの屋敷の者がそのうちもどってくるはずだ」
作品名:ゆらのと 作家名:hujio