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ゆらのと

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行きたくない。
それが素直な感想だ。
けれども、自分が行かなければ、この三人は屋敷の主から処罰されるに違いない。
そして、あの男のやることはひどい。
桂はトアラの短くなった髪をほんの一瞬だけ見て、眼を伏せた。
「ああ、わかった」
そう返事するしかないと判断した。
桂は三人とともに部屋を出る。
案内されなくても、浴室へはどう行けばいいのかを知っている。
ひとりでも行ける。
しかし、三人が一緒に行く必要があるようだ。
気は進まないが、それでも、いつもの廊下を歩くうちに、到着する。
まず控え室のような部屋に入った。
その部屋を通り抜けると、今度は脱衣所のような部屋があり、そして次に浴室がある。
使用人は控え室で待っている場合がほとんどだ。
違ったのは、一番最初にここに来たときで、浴室にトアラが桂の身体を確認するために入ってきたのだった。
だが、それは唯一の例外だ。
そう桂は認識していた。
だから、ひとりで脱衣所へ入ったあと、続けて三人が入ってきたのには、驚いた。
「なんだ……!?」
「身体を洗う、お手伝いをさせていただきます」
トアラが答える。
「このあと、あなたの身体をアジン様がご覧になりますので」
いつもは服で隠されている部分も見ることになる、ということだろう。
そして、もちろん、ただ見るだけでは終わらないだろう。
桂の胸の中に苦いものが広がった。
「……君たちの手伝いはいらない」
拒否する。
あの男のために、三人がかりで洗われるのは、嫌だ。
「俺ひとりで充分だ。あとで君たちが責められることがないようにする」
どうしても譲れない。
しかし、三人は黙ったまま立っている。
出ていこうとしない。
だから、桂はふたたび口を開く。
「身体の隅々まで洗うから」
そう付け足したあと、胸がきしむように痛んだ。
屈辱を感じた。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio