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ゆらのと

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その涙に、胸を衝かれた気がした。
心が求める。
身体が動く。
桂をつかまえる。
あらがわずに桂は抱き寄せられた。
さらに、胸にもたれかかってくる。
その身体を強く抱きしめる。
自分にとって、最愛の者。
それが、今、腕の中にいる。
様々なことを思い出す。
出会ったばかりの心を閉ざしていた頃に、絶対におまえを捨てないと言われたこと。
自分の中の想いが友情ではないと気づいていて、そして、欲しかったのに、傷つけたくなくて言えなかったこと。
ふたりで戦に出たときのこと。
強引に奪う形で初めてくちづけたときのこと。
絶望して去って、雪の降る中、ひとりでいて、思い出したこと。
離れていて、もう会わなくなったのに、忘れられなかったこと。
再会し、限界がきて、ついに告白したこと。
けれども、拒絶されたこと。
しかし、それでも諦めきれずに迫って、身体だけ与えられたこと。
ようやく関係が落ち着いてきて、心も変化してきているのではないかと期待し始めた頃に、事件が起き、別れたこと。
別れて、連絡を絶ち、だが、断ち切れず、密会するようになったこと。
地球から遠く離れた星に行ったこと。
本当にいろいろなことがあった。
そして、やっと、ここまで来た。
胸に迫ってくるものがある。
想いのままに、また抱きしめた。
ふと。
背中に腕がまわされた。
その優しい手が、応えるように抱きしめてきた。



長い旅だった。
だが、まだ終わらない。
これからも、行き先知れずの旅は続く。
ふたりで、歩いていく。












作品名:ゆらのと 作家名:hujio