とある世界の重力掌握
「さて、あと10分で実験開始だ。各員気を引きしめろ! 」
『はい!!』ここは東京郊外のとある会社の秘密研究所。
ここで今まさに試作品のテストが行われようとしていた。
この会社が開発していたのは、新型の小型原子力エンジンだ。もしこれが実用化できれば一般車や小型舟艇などにも搭載可能になるということで、おおいに儲けが期待できるのだ。
なので、今回のテストではもちろん細心の注意を払い万が一にも事故が起こらないように配慮して事前に何度もシュミレートを繰り返した。
だが、この世に100パーセントの安全などあるはずがないのだ。
「ん・・・・・なんだ、あの子は?!」
「馬鹿なすでに実験は始まっているんだぞ!」
「どこから入った!?」
「早くあの子を外に出せ!」
怒声が研究所内に響く。
監視塔にいる男の眼に映るのは、年のころ16歳くらいの少年。
「くそ!どうなってるんだよ!?なんだよ!?不良どもから逃げるためにこの廃墟に逃げ込んだのに・・・・なんで今日に限って人がいるんだよ?」
少年、古門護は自分の運のなさを呪っていた。
「そこの君!はやくそこから離れなさい!危険だ!」
そう後ろから言われても、ここで止まったらいかにも重要そうな施設には無断侵入したことをとがめられ、多分退学になる・・・・
「そんなの、ご免だ!!」
そのままフルダッシュして南門から出ようとする護だったのだが.......
「うそ!こっちにも?」
すでに門の前には、『捕獲準備完了』とでも言わんばかりに捕まえる気満々でネットを構えたごッつい男たちが待ち受けていた。
「くそ!こうなりゃあ、あの手だ!」
護は踵を返し、研究所の中央にある小屋を目指す。
その小屋が外に通じていることを彼は知っていた。
だが彼はあくまで部外者である。
その小屋が持つ意味までは分かるはずがなかった。
「おい!あの子。例のものが置いてある小屋に入ったぞ!」
監視塔にいる研究者の言葉に焦りの色が混じる。
「はやく、テストを中止するんだ!」
「はい!ただちに!」あわてて助手らしき男が装置をいじる。
だが・・・・事態はすでに悪化していた。
「大変ですチーフ!原子力エンジンが暴走を起こしています!このままでは私たちごと......いや敷地ごと吹っ飛んでしまいます!」
研究チーフの顔が真っ青になった。
「ただちに施設から避難するよう指示を出せ!すぐにだ!」
「あの少年はどうするんです!」
助手の言葉に研究チーフは振り向きもせず言った。
「放っとけ!」
小屋に飛び込んだ護は、ドアの外で急に足音が遠のいていくことを不思議に思った。
「いったいなにが?・・・・・にしても、なんか熱すぎないかこの小屋・・・・ん?!」
次の瞬間、彼の視界は突如莫大な光に包まれた。
「これは・・・・いったい・・・」
それが彼の最後の意識だった。
彼は忽然とこの世界から存在を『消した』のである。
<章=第一話 とある少年の消失>
「う・・・・ん・・・・ここは・・・・?」
視界に入る、見覚えのない真っ白な天井。
「いったい僕は・・・・たしか小屋に逃げたら、いきなり光が・・・・」
そこまでは記憶があるのだが凄まじい閃光が視界いっぱいに広がったのを最後に記憶が無くなっていた。
改めて周りを見渡してみて、護は不思議な感覚を憶えた。
「なんか、この部屋の雰囲気知ってる気するんだけどな・・・・」
「そうかな?君がここに来るのは始めてだと思うよ。」
突然聞こえた『聞きなれた』声に、思わず護は思わず叫んでしまった。
「ヘ・・・・ヘブンキャンセラー!?」
「うん?君は私のあだ名を知ってるのかい?」
護の視線の先に立つのは護が良く知る人物。
すなわち、『とある魔術の禁書目録』の世界における名医である『カエル顔の医者』またの名を『冥土返し』その人だったのである。
「あの・・・・これは何かのどきっりでしょうか?」
「ん?なにを言っているんだい?君はここに昨日入院したばかりの患者で、ぼくは君の担当医。それだけだと思うよ?」
いかにも当たり前だという風に答えるカエル顔の医者。
「あの・・・・ここはどこか教えてくれませんか?」
「ん?・・・・・ああ君はこの街の人では無かったんだね。ここは『学園都市』。この国に住んでいるなら聞いたことぐらいあると思うけどね。」
「学園都市?!んなバカな!」
護はベットから飛び出し、ダッシュで窓にかけよる。
その先に広がる風景が、自分が薄々思い始めている幻想を砕いてくれることを信じて。
「うそ、だろ・・・・」
だが、眼の前に広がった風景は彼が認めたくない幻想を『新たな現実』とするものだった。
何度もパソコン画面を通して見た町並み。
未来的なビルが立ち並び、掃除ロボがうごめき、なにより、街をあるく人々のほとんどが『学生』。
(嘘だろ・・・・)
護は茫然とし、この風景を否定しつつも、心のどこかで新たな現実を認識しだしていた。
(僕は、異世界に・・・・と禁の世界に来てしまったんだ!)
<章=第二話 とある世界で目覚めれば>
「君、落ちついたかい?」
「はあ・・・・もう大丈夫です 」
つい30分前、とんでもない『新たな現実』を受け止められず錯乱状態になった護は、病院スタッフ5人がかりで抑えられ、鎮静剤を打たれて、ベットに固定された。
「もうそろそろ、外していただけませんか?」
「いや、まだ確実に暴れない保障はないからね。もうすこしそのままでいてもらうよ。」
カエル顔の医者の言葉にうなだれる護。
「時に、君を見つけて通報した子を待たせているんだけどね。」
「へ?ぼくを見つけた?誰ですか?」
「それは、彼女に直接聞いた方が早いと思うよ 」
医者が指差す先、護の眼に映ったのは、まさに見なれた顔の少女、そしてここが異世界であることを決定づける人物。
(御坂・・・美琴・・・)
硬直してしまった護に、美琴は訝るような視線を向けた。
「なによ。私の顔になにかついてる?」
いや、あなたの存在が信じられないのですと言い出しそうになるのを必死に抑える護。
まさか別の世界から来たなどと話せるわけがない。
「あの・・・・君が?・・・・」
「そうよ、あのバカを追いかけて路地裏に入ったら、あんたがボロボロの姿で倒れていたからあわてて通報したの。おかげであいつは取り逃がしちゃったけどさ 」
美琴のいう『あいつ』とはおそらく上条当麻のことだろう。となると今はまだ、作品でいう第1話か2話ころとなるだろうか。
「ところでアンタ、いったいどこのだれなの?学生証もないし、ITパスももっていなかったけど、どうしてあんなとこで倒れてたわけ?」
そう聞かれてもこっちにもさっぱり分からない。
だが、なんらかの理由をつけなければ、怪しまれる。
悩んだ末に、護がだした理由は・・・・
「あの・・・・憶えてないんだ。気がついたらここにいて 」
「でも、ボクのことは知っていたよね?」
ギクリとなりながらも護はなんとか話を続けた。
『はい!!』ここは東京郊外のとある会社の秘密研究所。
ここで今まさに試作品のテストが行われようとしていた。
この会社が開発していたのは、新型の小型原子力エンジンだ。もしこれが実用化できれば一般車や小型舟艇などにも搭載可能になるということで、おおいに儲けが期待できるのだ。
なので、今回のテストではもちろん細心の注意を払い万が一にも事故が起こらないように配慮して事前に何度もシュミレートを繰り返した。
だが、この世に100パーセントの安全などあるはずがないのだ。
「ん・・・・・なんだ、あの子は?!」
「馬鹿なすでに実験は始まっているんだぞ!」
「どこから入った!?」
「早くあの子を外に出せ!」
怒声が研究所内に響く。
監視塔にいる男の眼に映るのは、年のころ16歳くらいの少年。
「くそ!どうなってるんだよ!?なんだよ!?不良どもから逃げるためにこの廃墟に逃げ込んだのに・・・・なんで今日に限って人がいるんだよ?」
少年、古門護は自分の運のなさを呪っていた。
「そこの君!はやくそこから離れなさい!危険だ!」
そう後ろから言われても、ここで止まったらいかにも重要そうな施設には無断侵入したことをとがめられ、多分退学になる・・・・
「そんなの、ご免だ!!」
そのままフルダッシュして南門から出ようとする護だったのだが.......
「うそ!こっちにも?」
すでに門の前には、『捕獲準備完了』とでも言わんばかりに捕まえる気満々でネットを構えたごッつい男たちが待ち受けていた。
「くそ!こうなりゃあ、あの手だ!」
護は踵を返し、研究所の中央にある小屋を目指す。
その小屋が外に通じていることを彼は知っていた。
だが彼はあくまで部外者である。
その小屋が持つ意味までは分かるはずがなかった。
「おい!あの子。例のものが置いてある小屋に入ったぞ!」
監視塔にいる研究者の言葉に焦りの色が混じる。
「はやく、テストを中止するんだ!」
「はい!ただちに!」あわてて助手らしき男が装置をいじる。
だが・・・・事態はすでに悪化していた。
「大変ですチーフ!原子力エンジンが暴走を起こしています!このままでは私たちごと......いや敷地ごと吹っ飛んでしまいます!」
研究チーフの顔が真っ青になった。
「ただちに施設から避難するよう指示を出せ!すぐにだ!」
「あの少年はどうするんです!」
助手の言葉に研究チーフは振り向きもせず言った。
「放っとけ!」
小屋に飛び込んだ護は、ドアの外で急に足音が遠のいていくことを不思議に思った。
「いったいなにが?・・・・・にしても、なんか熱すぎないかこの小屋・・・・ん?!」
次の瞬間、彼の視界は突如莫大な光に包まれた。
「これは・・・・いったい・・・」
それが彼の最後の意識だった。
彼は忽然とこの世界から存在を『消した』のである。
<章=第一話 とある少年の消失>
「う・・・・ん・・・・ここは・・・・?」
視界に入る、見覚えのない真っ白な天井。
「いったい僕は・・・・たしか小屋に逃げたら、いきなり光が・・・・」
そこまでは記憶があるのだが凄まじい閃光が視界いっぱいに広がったのを最後に記憶が無くなっていた。
改めて周りを見渡してみて、護は不思議な感覚を憶えた。
「なんか、この部屋の雰囲気知ってる気するんだけどな・・・・」
「そうかな?君がここに来るのは始めてだと思うよ。」
突然聞こえた『聞きなれた』声に、思わず護は思わず叫んでしまった。
「ヘ・・・・ヘブンキャンセラー!?」
「うん?君は私のあだ名を知ってるのかい?」
護の視線の先に立つのは護が良く知る人物。
すなわち、『とある魔術の禁書目録』の世界における名医である『カエル顔の医者』またの名を『冥土返し』その人だったのである。
「あの・・・・これは何かのどきっりでしょうか?」
「ん?なにを言っているんだい?君はここに昨日入院したばかりの患者で、ぼくは君の担当医。それだけだと思うよ?」
いかにも当たり前だという風に答えるカエル顔の医者。
「あの・・・・ここはどこか教えてくれませんか?」
「ん?・・・・・ああ君はこの街の人では無かったんだね。ここは『学園都市』。この国に住んでいるなら聞いたことぐらいあると思うけどね。」
「学園都市?!んなバカな!」
護はベットから飛び出し、ダッシュで窓にかけよる。
その先に広がる風景が、自分が薄々思い始めている幻想を砕いてくれることを信じて。
「うそ、だろ・・・・」
だが、眼の前に広がった風景は彼が認めたくない幻想を『新たな現実』とするものだった。
何度もパソコン画面を通して見た町並み。
未来的なビルが立ち並び、掃除ロボがうごめき、なにより、街をあるく人々のほとんどが『学生』。
(嘘だろ・・・・)
護は茫然とし、この風景を否定しつつも、心のどこかで新たな現実を認識しだしていた。
(僕は、異世界に・・・・と禁の世界に来てしまったんだ!)
<章=第二話 とある世界で目覚めれば>
「君、落ちついたかい?」
「はあ・・・・もう大丈夫です 」
つい30分前、とんでもない『新たな現実』を受け止められず錯乱状態になった護は、病院スタッフ5人がかりで抑えられ、鎮静剤を打たれて、ベットに固定された。
「もうそろそろ、外していただけませんか?」
「いや、まだ確実に暴れない保障はないからね。もうすこしそのままでいてもらうよ。」
カエル顔の医者の言葉にうなだれる護。
「時に、君を見つけて通報した子を待たせているんだけどね。」
「へ?ぼくを見つけた?誰ですか?」
「それは、彼女に直接聞いた方が早いと思うよ 」
医者が指差す先、護の眼に映ったのは、まさに見なれた顔の少女、そしてここが異世界であることを決定づける人物。
(御坂・・・美琴・・・)
硬直してしまった護に、美琴は訝るような視線を向けた。
「なによ。私の顔になにかついてる?」
いや、あなたの存在が信じられないのですと言い出しそうになるのを必死に抑える護。
まさか別の世界から来たなどと話せるわけがない。
「あの・・・・君が?・・・・」
「そうよ、あのバカを追いかけて路地裏に入ったら、あんたがボロボロの姿で倒れていたからあわてて通報したの。おかげであいつは取り逃がしちゃったけどさ 」
美琴のいう『あいつ』とはおそらく上条当麻のことだろう。となると今はまだ、作品でいう第1話か2話ころとなるだろうか。
「ところでアンタ、いったいどこのだれなの?学生証もないし、ITパスももっていなかったけど、どうしてあんなとこで倒れてたわけ?」
そう聞かれてもこっちにもさっぱり分からない。
だが、なんらかの理由をつけなければ、怪しまれる。
悩んだ末に、護がだした理由は・・・・
「あの・・・・憶えてないんだ。気がついたらここにいて 」
「でも、ボクのことは知っていたよね?」
ギクリとなりながらも護はなんとか話を続けた。
作品名:とある世界の重力掌握 作家名:ジン