Angel Beats! ～君と～
遅くなりました。申し訳ありません。
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第28話 Game start! Part11
「プレイボール！」
低い声が後半の試合を告げた。
前半戦は四回の裏で終了、今度は八回の裏までという特殊ルール。引き分けの場合はそのまま続行。
（トップバッターっていうのもプレッシャーが掛かるよな…）
一回目の試合は相手が弱かったから勝てたものの、今回は大変だ。
ゆりはこれまでは「遊び」と言った、それ程強いという事だ。
（ちゃっちゃっと終わらせて早く攻撃しなきゃ……）
構えて、腕をやや下ら辺にボールを投げる素振りをする。
（…アンダースロー）
などと考えている内に投げられる。
ストレートだが、前のピッチャーよりは速い。即、対応するがボールはただ真上に行くだけでキャッチャーのミットに捕られる。
「アウト！」
（げぇ…速っ……）
率直な感想を抱くとベンチへ戻る。
「速いですね、ゆりっぺさん」
「そうね…」
「次、TKさんですよ」
「バンダナしてて見えるのかしら？」
適当に現在の状況を述べるとTKを見守った。
「ストライク！」
（Oh,何てSpeed…）
最初は結弦が打てたら様子を見ようとしたが、簡単に打ち捕られた為内心は焦っている。
あのアンダースローの球を打てる者は居ないだろう。打てた結弦は奇跡だ。
崩れた体勢を再び整えると相手に目を据える。
後、一球でTKは終わり。仲間の為にもせめて一塁に出たいものだ。
（……Cool down）
そして、相手は投げる。ボール投げは遊び、キャッチボールも遊びだけど今回はそうはいかない。
遊びどころでは無い球がこっちに迫って来るのだから。
「ストライク！バッターアウト！」
TKの願い（バット）はボールに届かずアウトにされた。
「TKドンマイ、ドンマイ！次があるさ！」
「Fuzimaっちゃん…」
次があるかどうかは分からないが、取り敢えず励ます藤巻。
ベンチに戻った後、オロナミンZを箱から出すと水分補給の為に飲む。相変わらずの爽やかな炭酸が口の中に広がる。
「TKって腰に手を当てて飲むのね…」
「…謎だらけですね」
TKが手を腰に当ててオロナミンZを飲む光景が何か二人にとってシュール過ぎた。普段は『I´ll be back』とか何とかして訳の解らない英語を放っている。何処でもヘッドスピン（ヘルメット無し）をするわ、とにかく謎だらけ。二人はそんな普段のTKを見ているがオロナミンZを飲む光景が新鮮に見えた。
「次は日向さんですよ。どうします？交替しますか？」
「そりゃあ無ぇぜ、出番くれよ！」
前の方のベンチに座って居た日向は少なくとも聞こえていた。
「…、交替無しで良いわ。その代わり、打って頂戴。」
「言われなくても、わぁってるよ！」
と張り切ってベンチからバットを持って出たが―――――、
「ストライク！バッターアウト！スリーアウトチェンジ！！」
「悪（わり）ぃ…、やっちまった……」
呆気なくアウトにされた。
「何やってんのよ！お前はぁぁああああ！！」
ズビィ！と固く握った右手を日向の腹へ突き刺す。
「お゛！！？」
食らった日向は地面に転がり、暫くもがく。前回は股間に蹴りを食らったがこちらの攻撃の方がどちらかというとマシ。
明らかに他のメンバーとは違う態度を取るゆりは日向に背中を向けた。
（流石…速いわね……あのボール…）
『小枝 凛』というピッチャーの動きを思い出してみると、結弦と同様、無駄ではないピッチングと正確なコントロール、速さは結弦を上回っていた。ただ、それだけだがどうして打てない。
大丈夫か？、と結弦がまだ転がり続けている日向の下（もと）へ近付くと、『コレ』かよ、と日向が返した為その場から離れて見捨てて行く結弦。
（………、）
こうして見ると、ゆりは日向が邪魔で仕方が無かった。
（後、もうちょいで夏休みか……）
と試合に関係しないが思う。
子どもの唯一の長い長い休み、それが夏休み。
「ぅにゃ！？しぇきにゃっちにゃにゃぃりゃちゃにょ！？（関根っち何をいれたの！？）」
「ふっふっふ、どうだいあたし特製、関根スペシャルは！ワサビとカラシと獅子唐（辛いのだけを取り寄せたぞ☆）と牛乳と唐辛子とコーラを入れたドリンクだよぉぉぉおおおお！！」
と外野が騒がしく、入江は顔を歪めて関根に問いただしている。
いつもの事だ、とゆりは頭に手を置いて呆れつつ、最終的に関根はひさ子に必殺チョップを頭の天辺に味わわされた。その味はかなり痛い。
「そういえば小枝ってさ」
「ん？」
「あれ、上手くなったのか？」
「上手くなったよ！」
「そっか…」
「来ぉぉおおい！！」
またまた殺気を出してキャッチャーマウンドに居る野田。バッターは少し気圧されたが、何とか耐えている。
大山は現在進行形で気絶中。代わりに高松が入っている。本人は『私の活躍、期待して下さい』と眼鏡を拭いて掛けようと思ったら、間違えてダンベルを掛けようとするという謎の行動を取る。
『期待』すると言うより、『心配』の方が当てはまるだろう。
（ちゃっちゃと終わらせるか…）
結弦は振りかぶって、ボールを野田のキャッチャーミット目掛けて投げた。
「……ゆりっぺ～」
と不意に大山が声を出す。
「大山君？」
「寝言の様ですね」
遊佐が冷静な判断をすると、まだ大山の寝言は続いていた。
「ゆりっぺ…ミサイルは手で持っちゃいけないよ……発射台が壊れているからって手で投げようとするなんて…無理しなくても……良いんじゃない………」
「……」
遊佐は流石にこれは呆れた。
そもそもゆりがミサイルを手で持つ事自体怪しい。元々、本人（ゆり）は何処か飛んでいるから無理をするが、流石にミサイルは持たない。
「どんな夢を見ているのよ…」
「…ゆりっぺさんって……ミサイル…」
「何か言った？」
「いえ、何も。それよりも一塁に居る人が、盗塁しそうですよ」
さっき結弦の投げたボールを打った相手チームの一人がそわそわしている。
一塁に留まらせたのは高松が横飛びでワンバウンドしたボールを捕るというファインプレーをしたからだ。ちなみに、大山が気絶中の為レフトだ。
「ホントね…」
結弦が振りかぶる素振りを見せると遊佐の予想通り二塁に向かって走って行く。
バッターはバットを振るもアウトにされるもそんなのは関係無い。盗塁というものは便利だ。
「音無ぃぃぃいいしゃがめえええぇぇぇ！！」
野田は大声で結弦に指事をすると共にボールを結弦目掛けて思いっきり投げる。
「うお！？」
突然の事が起きた為にしゃがむ動作は出来ず、代わりに体を仰（の）け反（ぞ）らせる。いわばマトリックス避（よ）けで避けた。
ボールは日向のグローブに入り、それと同時にベースを踏む。相手もヘッドスライディングでベースに手を伸ばしたが間に合わずアウトにされる。
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第28話 Game start! Part11
「プレイボール！」
低い声が後半の試合を告げた。
前半戦は四回の裏で終了、今度は八回の裏までという特殊ルール。引き分けの場合はそのまま続行。
（トップバッターっていうのもプレッシャーが掛かるよな…）
一回目の試合は相手が弱かったから勝てたものの、今回は大変だ。
ゆりはこれまでは「遊び」と言った、それ程強いという事だ。
（ちゃっちゃっと終わらせて早く攻撃しなきゃ……）
構えて、腕をやや下ら辺にボールを投げる素振りをする。
（…アンダースロー）
などと考えている内に投げられる。
ストレートだが、前のピッチャーよりは速い。即、対応するがボールはただ真上に行くだけでキャッチャーのミットに捕られる。
「アウト！」
（げぇ…速っ……）
率直な感想を抱くとベンチへ戻る。
「速いですね、ゆりっぺさん」
「そうね…」
「次、TKさんですよ」
「バンダナしてて見えるのかしら？」
適当に現在の状況を述べるとTKを見守った。
「ストライク！」
（Oh,何てSpeed…）
最初は結弦が打てたら様子を見ようとしたが、簡単に打ち捕られた為内心は焦っている。
あのアンダースローの球を打てる者は居ないだろう。打てた結弦は奇跡だ。
崩れた体勢を再び整えると相手に目を据える。
後、一球でTKは終わり。仲間の為にもせめて一塁に出たいものだ。
（……Cool down）
そして、相手は投げる。ボール投げは遊び、キャッチボールも遊びだけど今回はそうはいかない。
遊びどころでは無い球がこっちに迫って来るのだから。
「ストライク！バッターアウト！」
TKの願い（バット）はボールに届かずアウトにされた。
「TKドンマイ、ドンマイ！次があるさ！」
「Fuzimaっちゃん…」
次があるかどうかは分からないが、取り敢えず励ます藤巻。
ベンチに戻った後、オロナミンZを箱から出すと水分補給の為に飲む。相変わらずの爽やかな炭酸が口の中に広がる。
「TKって腰に手を当てて飲むのね…」
「…謎だらけですね」
TKが手を腰に当ててオロナミンZを飲む光景が何か二人にとってシュール過ぎた。普段は『I´ll be back』とか何とかして訳の解らない英語を放っている。何処でもヘッドスピン（ヘルメット無し）をするわ、とにかく謎だらけ。二人はそんな普段のTKを見ているがオロナミンZを飲む光景が新鮮に見えた。
「次は日向さんですよ。どうします？交替しますか？」
「そりゃあ無ぇぜ、出番くれよ！」
前の方のベンチに座って居た日向は少なくとも聞こえていた。
「…、交替無しで良いわ。その代わり、打って頂戴。」
「言われなくても、わぁってるよ！」
と張り切ってベンチからバットを持って出たが―――――、
「ストライク！バッターアウト！スリーアウトチェンジ！！」
「悪（わり）ぃ…、やっちまった……」
呆気なくアウトにされた。
「何やってんのよ！お前はぁぁああああ！！」
ズビィ！と固く握った右手を日向の腹へ突き刺す。
「お゛！！？」
食らった日向は地面に転がり、暫くもがく。前回は股間に蹴りを食らったがこちらの攻撃の方がどちらかというとマシ。
明らかに他のメンバーとは違う態度を取るゆりは日向に背中を向けた。
（流石…速いわね……あのボール…）
『小枝 凛』というピッチャーの動きを思い出してみると、結弦と同様、無駄ではないピッチングと正確なコントロール、速さは結弦を上回っていた。ただ、それだけだがどうして打てない。
大丈夫か？、と結弦がまだ転がり続けている日向の下（もと）へ近付くと、『コレ』かよ、と日向が返した為その場から離れて見捨てて行く結弦。
（………、）
こうして見ると、ゆりは日向が邪魔で仕方が無かった。
（後、もうちょいで夏休みか……）
と試合に関係しないが思う。
子どもの唯一の長い長い休み、それが夏休み。
「ぅにゃ！？しぇきにゃっちにゃにゃぃりゃちゃにょ！？（関根っち何をいれたの！？）」
「ふっふっふ、どうだいあたし特製、関根スペシャルは！ワサビとカラシと獅子唐（辛いのだけを取り寄せたぞ☆）と牛乳と唐辛子とコーラを入れたドリンクだよぉぉぉおおおお！！」
と外野が騒がしく、入江は顔を歪めて関根に問いただしている。
いつもの事だ、とゆりは頭に手を置いて呆れつつ、最終的に関根はひさ子に必殺チョップを頭の天辺に味わわされた。その味はかなり痛い。
「そういえば小枝ってさ」
「ん？」
「あれ、上手くなったのか？」
「上手くなったよ！」
「そっか…」
「来ぉぉおおい！！」
またまた殺気を出してキャッチャーマウンドに居る野田。バッターは少し気圧されたが、何とか耐えている。
大山は現在進行形で気絶中。代わりに高松が入っている。本人は『私の活躍、期待して下さい』と眼鏡を拭いて掛けようと思ったら、間違えてダンベルを掛けようとするという謎の行動を取る。
『期待』すると言うより、『心配』の方が当てはまるだろう。
（ちゃっちゃと終わらせるか…）
結弦は振りかぶって、ボールを野田のキャッチャーミット目掛けて投げた。
「……ゆりっぺ～」
と不意に大山が声を出す。
「大山君？」
「寝言の様ですね」
遊佐が冷静な判断をすると、まだ大山の寝言は続いていた。
「ゆりっぺ…ミサイルは手で持っちゃいけないよ……発射台が壊れているからって手で投げようとするなんて…無理しなくても……良いんじゃない………」
「……」
遊佐は流石にこれは呆れた。
そもそもゆりがミサイルを手で持つ事自体怪しい。元々、本人（ゆり）は何処か飛んでいるから無理をするが、流石にミサイルは持たない。
「どんな夢を見ているのよ…」
「…ゆりっぺさんって……ミサイル…」
「何か言った？」
「いえ、何も。それよりも一塁に居る人が、盗塁しそうですよ」
さっき結弦の投げたボールを打った相手チームの一人がそわそわしている。
一塁に留まらせたのは高松が横飛びでワンバウンドしたボールを捕るというファインプレーをしたからだ。ちなみに、大山が気絶中の為レフトだ。
「ホントね…」
結弦が振りかぶる素振りを見せると遊佐の予想通り二塁に向かって走って行く。
バッターはバットを振るもアウトにされるもそんなのは関係無い。盗塁というものは便利だ。
「音無ぃぃぃいいしゃがめえええぇぇぇ！！」
野田は大声で結弦に指事をすると共にボールを結弦目掛けて思いっきり投げる。
「うお！？」
突然の事が起きた為にしゃがむ動作は出来ず、代わりに体を仰（の）け反（ぞ）らせる。いわばマトリックス避（よ）けで避けた。
ボールは日向のグローブに入り、それと同時にベースを踏む。相手もヘッドスライディングでベースに手を伸ばしたが間に合わずアウトにされる。
作品名：Angel Beats! ～君と～ 作家名：幻影