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とある魔術の禁書目録【previous story】3

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学園都市に入った上条一家は、母・詩菜の『ちょっと昔の携帯にオマケ感覚でついていた、訳のわからない案内をするアプリ』並みの方向音痴で、大都市に入って3分で迷ってしまった。
 父・刀夜がまだ道案内を続けようとする詩菜を必死に止め、通りを歩いてる数少ない大人の女性に聞いてまわったところ、カミジョー属性を見事に発揮し、詩菜の刀夜への制裁タイムへ突入するという本末転倒なタイムロス。
 そこから、荒れ狂う詩菜(内面とオーラ)を宥めることに成功した刀夜だったが、さまざまなハプニング(詩菜と刀夜が5:5の割合で原因)に遭い、家を出発してから計5時間後に目的地の学校に到着した。
 学校の外見は普通で、白を基調とした清潔感のある外装。今は春休みだが、クラブ活動らしきものがグラウンドであっていたり(さすがに車で突入はしなかった)、校内から楽器の音が聞こえてきたりする。
 駐車場に車を停めた刀夜は伸びをしながら後ろを見て、
「んー、着いたぞ当麻、降りて……って、当麻! 大丈夫か!! 」
 そこには、各部を撃たれてもしぶとく這いつくばってプレイヤーに襲いかかってくる某ホラーゲームのゾンビみたいになっていた上条がグッタリしていた。
「うぅ……気分悪い。暑い。きつい」
「……ははっ、ゴメンな、当麻。でも、見てくれ。あれが……お前……が……今日……から……住む……寮……」
 寮を指差しながら固まってしまった刀夜。
 無理もない。シンプルで普通の外装だった校舎と違って、寮はこの場に合わない見た目をしている。
 レンガを使った壁にところどころ立てられたロウソク、田の文字の形をしたガラス窓、板チョコレートの形をしたドアに金の取っ手。完全に洋風で、キリスト教の学校などにありそうな外見だ。
 体育館、プール、グラウンド、その他の校舎内のものはどこにでもある見た目だが、唯一寮だけがヨーロッパにありそうな雰囲気を出しており、異彩を放ってる。
「「……校舎とミスマッチすぎだろ(でしょ)」」
 思わずハモってしまった上条親子。10人いたら9人は同じ感想を持つはず。だが、残りの1人である詩菜がノンビリと、
「あらあら。ずいぶんと立派な寮ね。よかったわね、当麻。こんな素敵な所に住めるなんて」
 校舎と比較することはせず、寮自体が立派ならば詩菜には問題ないらしい。
 2人は寮の場違いさに驚きつつ、1人はそんな2人をニコニコと眺めつつ、寮へ向かった。
 寮の写真が載っていなかったという前代未聞のパンフレットだったが、まさかこんな建物だとは誰も予想していなかった。『ようかん』と、書かれた箱にロールケーキが入ってたみたいな感じだ。
 刀夜がインターホンを押すと、やはり鐘の音が鳴った。数秒後、遠くから『はーい』という返事が返ってきた。またしばらく待つと、ドタドタドタという走ってくる音が聞こえ、『キャーッ!!』という甲高い声が聞こえたかと思うといきなりドン!!と扉が開き、白い粉がいっぱいに入ったボウルを持った女性が倒れこんできた。
「ごめんなさーーーい!!」
 ボウルは宙を舞うと、上条の頭へ吸い込まれるように綺麗に飛び、中に溜まっていた粉を撒き散らした。
 そして、現在に至る。