恋の吊り橋効果
『恋の吊り橋効果』
ほうっ、と悩ましげな吐息を甘く漏らして、帝人はぽつりと呟いた。
「ねぇ、紀田君。サングラス外した素顔の静雄さんに、間近でじっと見詰められたら、すっごいドキドキしたんだけど…これって、やっぱり恋なのかなぁ〜」
自動喧嘩人形がサングラスを外す=今から暴れるぞ!の合図。これ、池袋人の常識!
正臣はごくりと息を呑んだ。
「あ、でも、静雄さんってハンパなく眼力強いから…あんまり凝視されると、心臓バクバクしちゃうのは普通の反応?やっぱり恋じゃない?」
(目付きの悪いチンピラが、眼前でまじガン見!!そりゃあ心臓もバクバクするってモンだろうさ!!ひぃい〜〜っ)
「さすがに、くっつきそうな距離まで顔近づけて来たから、驚いて静雄さん押し返しちゃったけど…。うん、あの時はちょっと、びっくりしたかも」
(ぎゃ〜〜っ!帝人の唇が、狙われてるぅ〜〜っ!?)
「み、帝人!おま…ちょっ、それっ!!」
「へ?な、なに?」
「それ!恋のドキドキちゃう!!ライオンの檻の中に、生餌として放り込まれたウサギが感じる(生命の危機的な意味での)ドキドキだから〜〜っ」
* * *
食べられちゃうんですか?食べられちゃうんですv
恋愛テクで、相手に“吊り橋効果”狙うのは、静雄さんの場合、かなり有効な手段だと思います。いろんな意味で、帝人君をドキドキさせること請け合い(笑)