Wizard//Magica Wish −2−
「っ!!杏子!!」
「まかせろ!!たぁぁっ!!」
魔法少女に変身した さやか と杏子は剣と槍を仮面の男…「ウィザード」に向け、突撃を仕掛ける。しかしウィザードは先ほどの杏子の攻撃を交わしたように、いとも簡単に二人の攻撃を避ける。
「やめてよ二人とも!その人は…」
「なに言ってんの まどか!こいつは私達のソウルジェムを狙ってんのよ!!?」
「ソウルジェム取られたらどうなるかお前もわかってるだろ!!…はぁッ!!」
杏子の言い分ももっともである。
ソウルジェム…魔力の源でもあり、自分の「命」と例えても過言ではない。
もし、自身のソウルジェムを破壊されてしまうと、それは「死」を意味しているのだ。
「2人とも!今すぐ離れて!!」
「マミさん!?」
「おっと危ねぇ!!」
「え?…あ、やば!」
まどかの後ろでマミはウィザードに対し、砲撃態勢をとる…がそれだけでは終わらない。
空間中に数えられないぐらいの無数のマスケット銃を出現させ、一気に放った。
さやか と杏子は一瞬でウィザードから離れ、彼がいた場所に砲弾の嵐が襲ってきた。
「さっすがマミさん!」
「まだよ!」
砲弾の煙が晴れない間に、マミは巨大な銃を召喚する。
「これでとどめ!ティロ、フィナーレ!!」
マミの最大の必殺技、ティロフィナーレが放たれた!
ティロフィナーレをまともに受けて無事でいたなんて例はない。
誰もがウィザードの敗北を悟っていた。
「ふぅ…これだけやれば」
「流石にティロフィナーレを受けて立っている奴なんて見たことねぇしな」
「あの仮面ライダーさん、死んで…ないよね?」
「大丈夫、魔力ダメージだから人間には効かないはず、ってか、まどか はもっと自分の心配しなさいよ!ソウルジェム奪われたら洒落にならないわよ!?」
ティロフィナーレが撃たれた場所からは今だに砂煙がたっている。
無論、ウィザードとて流石に無事では済まないだろう。
しかし、彼女達は油断していた。
ウィザードはまだ姿を見せていなかったのだから…。
「痛てて…流石に俺もボロボロだな…」
「えっ…う、嘘だろおい!!?」
「そんな、ティロフィナーレの直撃を受けて立っていられるなんて…」
「なんとか『ディフェンド』の魔法で防げたんだけどね…でも凄い威力だった。さて、俺もそろそろ本気だすかな」
ウィザードは懐からまた新しい指輪を取り出し、右手に装着した。それと同時に さやか達も各々の武器を構えなおす。そして、ウィザードはゆっくりと腰のベルトに右手を掲げた。
「さあ、ショータイムだ」
『エラー』
「…ん?」
『エラー、エラー』
「な、なんだ?どんな魔法だ」
「気を付けて、美樹さん!佐倉さん!」
「本当に…敵、なの?」
「まどか!まだそんな事言っているのかい?」
「でも、キュウベぇ…私、なんだか…」
「…えっと…」
『エラー』
「…おほん…っ!」
『エラー』
ウィザードは何ども腰のベルトに右手をかざすが、出てくる言葉は「エラー」のみ。
しばし、頭を掲げて何かを考える。
まどか達は何事か…と言葉を失ってしまった。
数分たった頃、ウィザードは何か吹っ切れた口調で話し始めた。
「ふぃ~…魔力切れかな」
「え…?」
「今日はここまでだな。また今度ね、まどかちゃん」
「っ!!…ちょ、ちょっとま…」
「っ!」
「まさか!!」
「鹿目さん!その人を…」
「もう遅いよ、じゃ!」
まどかの視線上から、一瞬でウィザードの姿が消え去った…訳ではなく、
大きなジャンプを繰り返し、どこか遠くへと消えていった。
丁度ウィザードの姿が見えなくなった瞬間に魔女結界が消滅し、元の商店街の路地裏へと出た。
「チっ…逃げられたか」
「気を付けて杏子、奴は目をつけた魔法少女は絶対に逃さないからね」
「杏子を助けてくれたと思ったら自分の目的のためだったなんて…絶対に許せない!」
「…魔女の他にも心配事が増えたわね…暁美さんにも伝えとかないと…」
「ウィザード…さん、か。…なんで、私達のソウルジェムを狙ってるんだろう…それに、なんで」
私の名前を知ってたんだろう。
作品名:Wizard//Magica Wish −2− 作家名:a-o-w