あめのちたいよう
とある晴れの日の事。
「はぁ…」
そうドイツは少し溜息をついたと同時に、珍しく顔を真っ赤にし、『ドイツの研究魂』とやらを始めて呪った。
「何だ…この日記は……」
それは、昔彼の兄が毎日欠かさずつけていた、でかでかと[おれさまにっき]と書かれた日記だった。
最初はどこの不憫かとか考えるというあからさまな『逃げ体制』に入っていたが、見てしまってはもう遅い。自分の兄がこんな日記をちまちま書く様な人だと発覚すれば誰でもこうなるだろう。
本能的に投げ飛ばしたい衝動に駆られるが、腕を90度に上げた時、
何かがピラリ、と羞恥の塊から滑り落ちた。
「…?」
ドイツは滑り落ちた何かを顔に疑問符を貼り付けながらめくった。
「あ……」
―え。うそ。なんでこんなところにあるんだ。
頭の中をその何かでぐちゃぐちゃとかき混ぜられるような感覚にドイツは苛まれた。
―何で…何で…!
思い出される記憶。
抉り出される感情。
今もなお輝き続ける、兄の笑顔。
そんな彼らの、昔のお話。