友達以上
「…………」
「…………」
無言。
「ちょっと、みゆきちゃん!?」
「やよいちゃんこそ!」
「せーので言おうって言ったのはそっちでしょ!」
「いや、だって、本当に言おうとしたんだけど、やっぱり恥ずかしくて……」
そりゃあ私だって恥ずかしかったし、結局言えなかったけど、危うく私だけ言っちゃうところだったよ! とんだトラップだよ!
「それに、私……」
みゆきちゃんは何かを言いかけたまま私を見た。
その瞳は何故か輝いているように見えた。
「あ、私こっちだから」
気づけばみゆきちゃんの家のそばまで来ていた。夕日もそろそろ山の向こう側へ隠れそうだ。
「それじゃ、また明日!」
みゆきちゃんは半ば逃げるようにそそくさと家へと向かっていった。
「うん、バイバイ」
結局みゆきちゃんが何を言いかけたのはわからなかったけど。
私はその背中を見送ってから、長い溜め息を吐いた。
「やっぱり、言えないよね……」
本当は言いたかったな……みゆきちゃんが好きだって。