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【シンジャ】徹夜明けの政務官にお酒を与えたら

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「ね、ジャーファルさんってお酒飲んだらどうなるんだろ!」
「「「は?」」」
ピスティの言葉に、ヤムライハ、シャルルカン、スパルトスが揃って反応を示す。
「だって見たことないじゃん、ジャーファルさんがお酒飲んでるとこ」
それはそうだと三者一様に思ったが、けど、である。
「なんで突然?」
ヤムライハが質問すると、ノリで、とピスティが即答する。
「なんつー軽さだよオマエ・・」
「えー、だって一度は思う疑問じゃーん」
「・・私は考えたことないが」
続いてシャルルカンとスパルトスが言う。
「もう!そんなことはどうでもいいの!宴の時だって王が飲み過ぎないように隣にいるしさ、気になるじゃんー」
それを聞いて、好奇心に揺れる師弟組と、どうだろうかと汗を浮かべるスパルトス。
「・・よし、それなら仕方ねぇな、手伝ってやる!」
「わーい」
「なにが仕方無いんだ」
「そ、そう仕方無いからね!」
「だから何が」
そんな会話と言えるかが疑問なやり取りがまじわされ、現在。
「で、なんで私まで参加させられてるのだ・・?」
「皆でやった方が楽しいじゃんか!」
「そういうものなのか・・?」
そろそろ混乱し始めるスパルトス。
「でもすきっ腹にお酒は危ねぇよなぁ・・」
「そうだねぇ・・」
「じゃあ休んでと請じて食べ物と水を用意!それで水のおかわりですよと言ってお酒!これでFA!!!」
「ヤムライハ、その知恵は別の時に使って欲しいのだが」
かくして、8人将(一部を覗く)の戦いが始まった。

* * *
「もうアンタはこうだから仕事が終わんねーんだよ王の癖によぉ・・」
「ひぃいごめんなさいジャーファル」
王が説教をされながら、書類と格闘している頃、
「ジャーファルさん!ここは王に任せてお食事をすませてください!」
ピスティが突然ドアを開け、叫んだ。
「ああ、ピスティじゃありませんか、いいえ、それはこれが終わってからにして・・」
「いいんだよ、食べておいでジャーファル君・・って変わり様酷く無いか?」
「いや、ですが・・」
「(後者は無視なのね)いいんだ、ほらほら」
とりあえず説教から抜け出したいシンドバッドが後押しし、ジャーファルはその場から席を外した。

* * *
「はい、ジャーファルさんご飯です!」
「どうもありがとう」
「はい、ジャーファルさん水です!」
「ありがとう」
「はい、ジャーファルさん水のおかわりです!」
「え、あ、ありがとう・・」
ピスティは、それをドキドキしながら見る。
その扉の影からは、三人がじっと見ている状態だ。
「なんで私も見てるんだろう・・」
「まあまあ」
スパルトスまでも好奇心に負け、ツッコミ不在である。
普通はそれが水じゃないと匂いで気付くジャーファルも、徹夜明けである。
仲間だからと油断していて、中身に気付かずコップを持ち上げ、何口が飲んだ後、
「うっ・・」
「「「「ええ!?」」」」
(あの人酒弱ッッッ!!)
そう思わずにいられない瞬間ができる。
「お前達何を騒いで・・ん?酒のにお・・・・・・・・・・・・い」
テーブルに伏せているジャーファルと、戸惑う4人をみて、シンドバッドが硬直する。
「ああ、すいません王よ!えーっとこれは好奇心でして・・えー違う!あの、貴方様が禁酒の時にこの様な・・違う!えー・・」
「いや、大丈夫だよ、俺はそういう意味でビックリしてるのではなくてだな・・その・・」
「「「「はい?」」」」
「あの・・君たちは外に出なさい」
「な、・・なんででしょうか?」
「いいから、ジャーファルが起きないうちに、」
「シンドバッドー」
「やべ、起きちゃったよ!」
「え?え?え?」
動揺する四人にまたシンドバッドが言う。
「いいから!」
だが展開に追いつけていない四人は、ただその場で首を傾げる。
「シン・・ドバッド・・」
「ああ、はいはい」
シンドバッドはジャーファルを抱え、うーと唸るジャーファルの背中をさする。
「なにあれ・・」
「いつもとなんか、なぁ・・」
「反対だよねぇ?」
「抱えたりはしないがな」
コソコソと話し始めるおいてけぼりの集団。
「フフッ、今日は一緒に寝ましょうね、シン」
「いや、それは無理が・・」
「昔はそうだったじゃないですかー」
一方で、理性を保たんとしているシンドバッド。
そう、ジャーファルはお酒を飲んだら甘え癖ができるのだ。
「くっ・・!嬉しいことなのだが・・・だが・・・・・・!」
「頑張って王!」
「お・・おう!」
「おうだけに!」
「黙れシャル!」
こうして、シンドリアの夜は更けていった。

* * *
「あれ?ん?仕事は・・んん?」
起き上がったジャーファルが暫し寝ぼけた後、ハッと目を覚ます。
「何でベッドで喜楽にねてんだ私は!!!」
「おお、ジャーファルか、仕事なら終わらせた・・ぞー・・・・・・」
目の前で、シンドバッドが崩れ落ちる。
「ええ!?ちょっ、シン!一人でやったんですか!?」
「いいや、ピスティとシャルルカンは仕事できないから、ヤムライハとスパルトスが・・手伝って・・やっ・・」
「や!?」
「・・った」
「マジですか!でも何で!?」
動揺しまくりながら、さすがは我らの政務官、昨日のことを早々に思い出す。
「・・ああ・・・・すみませんシン・・」
「いいんだ・・久しぶりにジャーファルが甘えてくれたしな・・」
「! くっ、今度は意識があるうちに甘えますから・・!」
バッとくまが出来た顔でシンドバッドはジャーファルをみる。
「本当か!?絶対だからな!」
「え、ええ・・ええええええ!」
自分の問題発言に気付くも時すでに遅し。シンドバッドはふっと微笑むと、寝息をたて始める。
「どうしよう・・あんなこと約束して良かったのか自分・・」
そして、呆然とするジャーファルだけが残された。

* * *
後日。
「ジャーファルー!!」
「・・っ、シンジャアリマセンカ、ドウシタンデスカ」
「なんでそんな片言なんだ?あ、それで甘えてくれるって・・」
「アラ・・ソンナコトイイマシタッケ?」
「言った言った」
段々といじめたいと思いを募らせるシンドバッド。
ぐっとジャーファルの腕を引っ張ると、顔を近づける。もちろんくまはとれている。
「ほら、甘えてごらん」
囁き声でジャーファルに尋ねる。
ジャーファルは、ぐっと一度目を閉じ、開けた。
「み・・」
「み?」
「耳をかしてください」
「ん」
次は、すっとジャーファルの口に自分の耳を近づけるシンドバッド。
「好きですよ、シン」
ぼそっとジャーファルは呟き、固まるシンドバッドから逃れて、さあ仕事仕事と顔を赤くして去っていく。
プシューッとその場に沈みだすシンドバッドに追い打ちをかける様に言葉が聞こえる。
「夜までお待ちください・・王よ」