孤高の太陽
小さな子供が泣いている
あれは誰?
あれは……オレ?
そうだ小さなオレは泣いているんだ
誰にも気づかれないように
己の存在を隠すかのように
外は雨
数刻前まで晴れていたとは信じがたいぐらいに
荒れ狂う豪雨(スコール)は
まるで今のオレの心の内を表している
時折、胸が無性に苦しくなって
人目につかないところで心の中で泣いて
すると空から雨が降ってきて
そして孤独を思い出して
怯えて、また泣いて
でも身体の奥から溢れてくる痛みを抑えつけることが出来ない
激しい雨に打たれ嗚咽がもれそうになり
思わず首元からシルバーの首飾りを引き抜き両手で握りしめた
オレは孤独だ
孤高の獅子
何度も何度も繰り返す
暗示を掛けるように
空は未だ泣いたまま
「…スコール…」
誰かが
「スコール……スコール…っ」
誰かがオレの名を呼んだ
来ないでくれ!
オレは…
「スコール」
凛とした声が響いた
「大丈夫ッスよ」
ふわりと、お日さまの香りがオレを包み込む
暖かい…
俺の中にある固く、凍った何かが溶けていく気がした
「大丈夫、アンタにはオレがついているッス」
じわりじわりと…
「
アンタは孤独なんかじゃない」
押し固めていた苦しさが溢れだす
「…っ、ぅ…ふっ……」
「もう大丈夫ッスから…」
暖かい手がオレの背を撫でる
皆気づかなかったのに
決して悟られないようにしていたのに
何でお前だけ気づくんだよ
「…っ…ティ…ダッ…ティーダァ……」
だからお前は苦手なんだ
相手の背に手をまわし力を込める
声が枯れるほど
涙が枯れるほど泣いた
赤くなった目を開いたら
眩しいくらいの太陽(ティーダ)と
蒼くどこまでも澄んだ青空が広がっていた