遠い日の追憶2
皆は一斉に顔をめんまの方に向けた。
「どーゆー事だよめんま」
「えへへー...めんまいい事考えたんだよっ!」
「何を考えたの?めんま」
ゆきあつは興味しんしんだ。
「えっとね!おばさん元気ないならバスターズのみんなで元気にしてあげようよ!きっと喜ぶよ!」
「ん...」
はっきし言って俺は苛立っていた。何かしてあげた所で母ちゃんが元気になる訳でもないだろと。適当な事いって...。
「おおお!!!めんま..すげー!!」
ぽっぽが舞い上がる。こいつにとってはなんでも凄いのか...。はぁ...。どいつもこいつも...。
「名案ね。私、しばらく元気にニッコリしたおばさんの顔みてないわ。だから元気にしてあげたい。」
つるこ.......。そーいやいつから自然な母ちゃんの笑顔見てないんだろ...。さっきとは打って変わってやる気が込み上げてきた。元気にしたい...。
「母ちゃんを!」
「じんたん?」
「俺...!母ちゃん元気にしてやりたい!」
そう。俺は超平和バスターズのリーダーなんだ。リーダーがしょげてちゃあ駄目だ。燃える様な使命感が湧き上がる。
「そうこなくっちゃ!」
バスターズのみんなが一斉に笑った。
俺にも自然と笑みが溢れ、和やかな気持ちになってゆく。
「みんなで母ちゃんの平和を守るんだ!」
「おー!!」
もうそこに淀んだ空気などなく、まるで無重力空間のような身軽さが身を包む。
「じゃあ、何する?!」
あなるが机に乗り出しながら先陣を切る。
「そうだな...じんだん。何かおばさんの好きな物とか知ってるか?」
ゆきあつが顎に手を当てながら問いかけてきた。簡単なようで難しい質問だ.
...。
「えっと、好きな物ねぇ...。んー...。」
母ちゃんの事はなんでも知ってたつもりだったけど、いざとなるといい答えが思い浮かばない。不思議だ。
「なんか、いい答え思いつかないや。」
「えー?じんたんのお母さんだよー!」
確かに...。親の好きな物一つまともに答えられないとは...。めんまのブーイングに抵抗する事はできなかった。
「じゃあ好きなお花は?」
つるこが呆れたように問いかける。
「えっと...。わかんないや...。」
どうしたんだろ俺。だれよりも大好きな母ちゃんの事何も知らないじゃないか...。情けなさと遣る瀬無さが心を蝕んでいく。こんな息子にはやっぱり無理なんだ。涙が溢れ出す。
「....どうしたの?じんたん....?」
めんまが不安そうに覗き込んできた。
「いや、なんでもねえよ...。なんでもないから...」
「なんでもないって...じんたん涙でてるよ?」
あなる。こいつもおせっかいな奴だ。
無重力効果の解けた空気が沈み出す。
同時に俺たちの心も勢いよく落ちてゆく。
また俺のせいでみんなを困らせてしまった。本当にこんな弱い俺が、こいつたちのリーダーでいいのだろうか。
くそ....!!
そしてまた遅い時間が流れていく...。
続く...。