ラダマンティスの悲劇
ここは聖域・教皇の間。
そこでは、教皇職で忙しいサガの元へ、カノンが遊びに来ていたが・・・
『兄貴・・・いや、サガ、その、ちょっと聞きたいことがあるんだけどよ』
『なんだカノン。急に改まって』
『いや、その、サガは・・・俺のことどう思う?』
『どうって、お前は私の弟だ』
『それだけか?』
『ああそれだけだ。それ以上なにがある?』
『・・・・・・・』
『・・・・・・・・』
『・・・分かったよ!しょせんサガにとって俺はただの弟、そういうことなんだろ!?』
『だから、そう言っただろ。なにを怒っているんだ、カノン?』
『・・・っ!別に・・・!!』
カノンは、なぜか機嫌悪く、1人外へ飛び出して行ってしまった。
『・・・カノン・・・、おかしな奴だな・・・』
サガは、そんな弟を見送りつつも、ぽつりと呟いた。
(やっぱりな!しょせんサガは俺のことなんとも思っていないんだ。そんなこと分かっていたはずだ。でもこうして実際にはっきり言われると、やはりちょっとショックかもな・・・・)
カノンは溜息吐きつつ、兄・サガへの自分の秘めた想いをどう消化していいのか分からず困っていた。
サガのことは好きだ。だがサガはカノンのことを弟としてしか見てくれていない。それが悔しい。
なんとか、サガの意識をこっちに向かせることはできないか?
などとカノンが考えながらトボトボ歩いていると、突如目前に巨大な影が・・・!?
だがカノンは考え事に夢中でそれすら気づいていないようだが、その影は、カノンをゆっくり優しく包み込むようにして・・・
そこでようやくカノンは影に気がつき、すかさず影に向け、蹴りを入れた。
『いきなりなにしやがる貴様!!』
カノンに蹴られた腹を抱えうずくまる、その影に向かい、カノンはぴしゃりと言い放ったが、その影には見覚えがあった。
背中にはドラゴンを思わせる巨大な翼、それに長い尻尾、短い金髪に、繋がり眉毛・・・・そう、その男はカノンの熱烈なストーカー!ワイバーンのラダマンティスその人だったのだ!
『って、てめえはラダマンティス!?』
『・・・ぐうう・・・さすがカノンよ、いい蹴りだったぞ・・・』
ラダマンティスはなんとか立ち上がると、カノンに向かって微笑んだ。
『悪りいな、まさかお前だとは知らずについ蹴り入れちまったけどよ、大丈夫か?』
『ああ、私なら大丈夫だ。それよりカノンよ、お前がなにやら悩んでいる様子なので、俺でよければ相談に乗るぞ?、いや、ぜひ相談に乗らせてくれ!』
『・・・ラダ・・・お前の気持ちは嬉しいけどよ、でもお前には関係のねえことだ。じゃっ・・・』
『まっ、待ってくれ、カノン!!お前に逢いたくて遥々冥界から来た私の立場はどうなる?、もうすこし私と一緒にいてくれないか!』
『んなこと俺には関係ねえ!!俺は今忙しいんだ!てめえに構ってるヒマなんざねえんだよ!!』
『ううう・・・カノンよ、なぜお前はいつも私に冷たいんだ・・・、こんなにも愛しているというのに・・・』
『気持ち悪りいこと言うな!!俺はお前なんざ愛してねえぞ!!!』
『そんなことは分かっている!カノンはサガが好きなのだろう?、だが、それでも私はお前のことを・・・・』
『なんなんだよお前はよ!なんで俺のことなんか好きなんだよ!ああ?理由を言ってみろ!?』
『う・・・それは・・・・いわゆる、一目惚れ、というやつだ』
なぜか照れながらのラダマンティス。
『ハア・・・お前なあ、俺は男なんだぞ、男が男に一目惚れしてどーする?』
『そういうカノンとて、サガのことが好きなのだろう?』
『うっ!それは、そうだけどよ・・・・』
『それと同じだ。男が男を好きになってなにが悪い?、人を好きになるのに理由なんかいらない。ただ側にいてくれるだけで、一緒にいられるだけで、なぜか幸せを感じる。そういう相手がたまたま男だっただけのことだ。そう、私にとってのカノンのようにな』
『・・・お前は、俺と居ると幸せなのか?』
『ああ、私はカノンの側にいられるだけで、それだけで幸せだ。』
『・・・・変な奴だな、お前・・・』
『はは、どう思われても構わないが、ただこれだけは覚えておいてくれ。私はカノンのことが好きなんだ、愛していると・・・・』
『ああ分かったよ。じゃ、そろそろお迎えが来たみたいなんで、俺はもう行くぜ、じゃあな、頑張れよ!』
カノンはなぜかラダマンティスの背後に目をやると、あっさり手を振って行ってしまった。
『え?、あの、カノン?』
ざしゃ!
そして、背後に見知ったコスモを感じるラダマンティス。
『ふ、ようやく見つけましたよ、ラダマンティス・・・・』
『まったく、余計な手間かかせやがってよ、お前をわざわざ探しに行かされる俺たちの身にもなって欲しいぜ・・・』
ぎくっ!
その声に聞き覚えがあり、思わずラダマンティスは戦慄した。
『ふふ・・・パンドラ様がお怒りでしたよ。またラダマンティスは職務ほったらかして、想い人の元へと逢引に行ったとね・・・』
『覚悟はできているんだろうな?、とうぜん冥界に戻ったら、パンドラ様にたっぷりお仕置きされるのは目に見えているけどよ』
ラダマンティスは、恐る恐る振り返ってみた。
いや、見なくても分かっていたことだが、案の定、彼の背後には彼の同僚・同じく冥界3巨頭のミーノスとアイアコスの姿が・・・!
『い、いや、まさかパンドラ様が俺を連れ戻すのにわざわざお前達を寄越すとは思わなかったんだ!』
『ふん、当然でしょう!貴方を連れ戻すのに、私たち以外の誰がいますか?、バレンタインたちでは荷が重過ぎますし、こうなったら同じ冥界3巨頭である私たちしかいないでしょう?、それとも、私達よりも、タナトス様やヒュプノス様の方がよかったですか?』
『とっ、とんでもない!あの2人が来るくらいなら、お前達が来てくれた方が何億倍もいいに決まっている!!』
『そうでしょう、そうでしょう。だったら私たちに少しは感謝して欲しいですね。パンドラ様は貴方を連れ戻すのに生死は問わないと、そう仰っていたのですから、もちろん殺しはしませんが、それ相応の礼をさせていただきます』
『ま、待て!それはどういう意味だ!?』
『ああ?どういう意味だあ?お前を探しにアチコチ歩き廻された挙句、俺たちをさんざん迷わせておいて、なにもお咎めなしで済むと思ってんのか!?』
『まあまあアイアコス、そう怒らないで。ラダマンティスも悪気があってここまで来た訳でもないでしょう。好きな人に逢いたいが為に仕事までサボってしまうほど純情な男なのですから、でも、そうですねえ、たしかに貴方を探すのは苦労しましたよ、なので、ちょーと痛い目に合っていただくということで許してあげることにします。それでいいでしょう、アイアコス?』
『まあな。俺も最近体がなまっていたから、たまには必殺技を繰り出してストレス解消したいところだったんだ』
『まっ、待て!ちょっ、ちょっとお前ら、こんなところで必殺技を繰り出す気か!?』
『大丈夫ですよ、貴方だったら、これくらい食らったところで死にはしませんでしょう』
『そら、覚悟はできているか、ラダマンティス?、行くぞ!』
『ま、よせーーーー!!!!』
『コズミック・マリオネーション!!』
『ガルーダフラップ!!』
そこでは、教皇職で忙しいサガの元へ、カノンが遊びに来ていたが・・・
『兄貴・・・いや、サガ、その、ちょっと聞きたいことがあるんだけどよ』
『なんだカノン。急に改まって』
『いや、その、サガは・・・俺のことどう思う?』
『どうって、お前は私の弟だ』
『それだけか?』
『ああそれだけだ。それ以上なにがある?』
『・・・・・・・』
『・・・・・・・・』
『・・・分かったよ!しょせんサガにとって俺はただの弟、そういうことなんだろ!?』
『だから、そう言っただろ。なにを怒っているんだ、カノン?』
『・・・っ!別に・・・!!』
カノンは、なぜか機嫌悪く、1人外へ飛び出して行ってしまった。
『・・・カノン・・・、おかしな奴だな・・・』
サガは、そんな弟を見送りつつも、ぽつりと呟いた。
(やっぱりな!しょせんサガは俺のことなんとも思っていないんだ。そんなこと分かっていたはずだ。でもこうして実際にはっきり言われると、やはりちょっとショックかもな・・・・)
カノンは溜息吐きつつ、兄・サガへの自分の秘めた想いをどう消化していいのか分からず困っていた。
サガのことは好きだ。だがサガはカノンのことを弟としてしか見てくれていない。それが悔しい。
なんとか、サガの意識をこっちに向かせることはできないか?
などとカノンが考えながらトボトボ歩いていると、突如目前に巨大な影が・・・!?
だがカノンは考え事に夢中でそれすら気づいていないようだが、その影は、カノンをゆっくり優しく包み込むようにして・・・
そこでようやくカノンは影に気がつき、すかさず影に向け、蹴りを入れた。
『いきなりなにしやがる貴様!!』
カノンに蹴られた腹を抱えうずくまる、その影に向かい、カノンはぴしゃりと言い放ったが、その影には見覚えがあった。
背中にはドラゴンを思わせる巨大な翼、それに長い尻尾、短い金髪に、繋がり眉毛・・・・そう、その男はカノンの熱烈なストーカー!ワイバーンのラダマンティスその人だったのだ!
『って、てめえはラダマンティス!?』
『・・・ぐうう・・・さすがカノンよ、いい蹴りだったぞ・・・』
ラダマンティスはなんとか立ち上がると、カノンに向かって微笑んだ。
『悪りいな、まさかお前だとは知らずについ蹴り入れちまったけどよ、大丈夫か?』
『ああ、私なら大丈夫だ。それよりカノンよ、お前がなにやら悩んでいる様子なので、俺でよければ相談に乗るぞ?、いや、ぜひ相談に乗らせてくれ!』
『・・・ラダ・・・お前の気持ちは嬉しいけどよ、でもお前には関係のねえことだ。じゃっ・・・』
『まっ、待ってくれ、カノン!!お前に逢いたくて遥々冥界から来た私の立場はどうなる?、もうすこし私と一緒にいてくれないか!』
『んなこと俺には関係ねえ!!俺は今忙しいんだ!てめえに構ってるヒマなんざねえんだよ!!』
『ううう・・・カノンよ、なぜお前はいつも私に冷たいんだ・・・、こんなにも愛しているというのに・・・』
『気持ち悪りいこと言うな!!俺はお前なんざ愛してねえぞ!!!』
『そんなことは分かっている!カノンはサガが好きなのだろう?、だが、それでも私はお前のことを・・・・』
『なんなんだよお前はよ!なんで俺のことなんか好きなんだよ!ああ?理由を言ってみろ!?』
『う・・・それは・・・・いわゆる、一目惚れ、というやつだ』
なぜか照れながらのラダマンティス。
『ハア・・・お前なあ、俺は男なんだぞ、男が男に一目惚れしてどーする?』
『そういうカノンとて、サガのことが好きなのだろう?』
『うっ!それは、そうだけどよ・・・・』
『それと同じだ。男が男を好きになってなにが悪い?、人を好きになるのに理由なんかいらない。ただ側にいてくれるだけで、一緒にいられるだけで、なぜか幸せを感じる。そういう相手がたまたま男だっただけのことだ。そう、私にとってのカノンのようにな』
『・・・お前は、俺と居ると幸せなのか?』
『ああ、私はカノンの側にいられるだけで、それだけで幸せだ。』
『・・・・変な奴だな、お前・・・』
『はは、どう思われても構わないが、ただこれだけは覚えておいてくれ。私はカノンのことが好きなんだ、愛していると・・・・』
『ああ分かったよ。じゃ、そろそろお迎えが来たみたいなんで、俺はもう行くぜ、じゃあな、頑張れよ!』
カノンはなぜかラダマンティスの背後に目をやると、あっさり手を振って行ってしまった。
『え?、あの、カノン?』
ざしゃ!
そして、背後に見知ったコスモを感じるラダマンティス。
『ふ、ようやく見つけましたよ、ラダマンティス・・・・』
『まったく、余計な手間かかせやがってよ、お前をわざわざ探しに行かされる俺たちの身にもなって欲しいぜ・・・』
ぎくっ!
その声に聞き覚えがあり、思わずラダマンティスは戦慄した。
『ふふ・・・パンドラ様がお怒りでしたよ。またラダマンティスは職務ほったらかして、想い人の元へと逢引に行ったとね・・・』
『覚悟はできているんだろうな?、とうぜん冥界に戻ったら、パンドラ様にたっぷりお仕置きされるのは目に見えているけどよ』
ラダマンティスは、恐る恐る振り返ってみた。
いや、見なくても分かっていたことだが、案の定、彼の背後には彼の同僚・同じく冥界3巨頭のミーノスとアイアコスの姿が・・・!
『い、いや、まさかパンドラ様が俺を連れ戻すのにわざわざお前達を寄越すとは思わなかったんだ!』
『ふん、当然でしょう!貴方を連れ戻すのに、私たち以外の誰がいますか?、バレンタインたちでは荷が重過ぎますし、こうなったら同じ冥界3巨頭である私たちしかいないでしょう?、それとも、私達よりも、タナトス様やヒュプノス様の方がよかったですか?』
『とっ、とんでもない!あの2人が来るくらいなら、お前達が来てくれた方が何億倍もいいに決まっている!!』
『そうでしょう、そうでしょう。だったら私たちに少しは感謝して欲しいですね。パンドラ様は貴方を連れ戻すのに生死は問わないと、そう仰っていたのですから、もちろん殺しはしませんが、それ相応の礼をさせていただきます』
『ま、待て!それはどういう意味だ!?』
『ああ?どういう意味だあ?お前を探しにアチコチ歩き廻された挙句、俺たちをさんざん迷わせておいて、なにもお咎めなしで済むと思ってんのか!?』
『まあまあアイアコス、そう怒らないで。ラダマンティスも悪気があってここまで来た訳でもないでしょう。好きな人に逢いたいが為に仕事までサボってしまうほど純情な男なのですから、でも、そうですねえ、たしかに貴方を探すのは苦労しましたよ、なので、ちょーと痛い目に合っていただくということで許してあげることにします。それでいいでしょう、アイアコス?』
『まあな。俺も最近体がなまっていたから、たまには必殺技を繰り出してストレス解消したいところだったんだ』
『まっ、待て!ちょっ、ちょっとお前ら、こんなところで必殺技を繰り出す気か!?』
『大丈夫ですよ、貴方だったら、これくらい食らったところで死にはしませんでしょう』
『そら、覚悟はできているか、ラダマンティス?、行くぞ!』
『ま、よせーーーー!!!!』
『コズミック・マリオネーション!!』
『ガルーダフラップ!!』
作品名:ラダマンティスの悲劇 作家名:れみあ