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セテゥンタ
セテゥンタ
novelistID. 44095
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勇者の道は険しい

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魔王を倒すためには勇者の力が必要だった。
だが、この国には勇者が居ない。

国王は困り果て、勇者を国民の中から、投票で選ぶことにした。
そして、勇者として、選ばれたのがこの俺である。

国王は勇者になった俺を祝って、武器・防具と支度金が入った封筒をくれた。
俺は喜んだ。だが、その喜びは一瞬の出来事だった。

封筒の中身を空けて、俺はびっくりした。
なんと、支度金は薬草6個分の代金だった。
こんなんで、どうやって魔王を倒せっていうんだ!!
俺は国王に抗議した。

国王はただひたすらに、同じ言葉しか返さなかった。
「勇者よ。魔王を倒し、この国にどうか平和をもたらしてくれ」
しかも、魔王が住む城の場所すら教えてくれない。なんとも理不尽だ。

せめて、魔王を倒すための訓練くらいあるんだろうな?と国王に抗議した。
だが、返ってきた言葉は・・・。

「勇者よ。魔王を倒し・・・」
俺はただ呆然とした。

仕方なく重い足取りで城を出て、村人から情報を集めることにした。
村人に話しかけて一つ気づいたことがある。

「勇者!勇者様!勇者殿」
など、主語には必ず勇者という言葉が含まれるのである。
そして、何度話しても、王様と同じで、永遠と同じ説明をするのみであった。

だが、たった一つわかったことは、魔王は北に居るという。
北ってどこだよ!!
俺は思わず叫びたくなった。世界は広いんだ。
北って言うだけで、魔王の居場所なんてわかるはずがない!

そもそも、国王こそが悪。いや、魔王じゃないのか?
俺は、だんだんと、そう考えるようになってきた。

だが、怒っても仕方がない。まずは、資金調達をすることにした。
お金さえあれば、世の中、なんとでもなるものである。

町を一歩出れば、モンスター達がわんさか居るのだ。
モンスターを倒していけば、自然にお金やレベルが上がるのである。これでなんとかなる。
そんなことを考えながら、町から数歩くらい歩くと、目の前に突如、青い物体が現れた。スライムである。
俺は悪戦苦闘の末、スライムを倒した。だが、お金どころか経験地すら入らない。

ゲーム世界において、定番である敵討伐時の報酬が全くないのである・・・。
俺は青ざめた・・・。
経験地が入らないということは、レベルは1のまま・・・。
しかも、所持金は薬草6個分・・・。

もう、電源を抜くしかない。俺はそう思った。
だが、ここで、村人の言葉をもう一度、よく思い返した。

そうだ!ルーダの酒場だ!お金を稼ぐなら、あそこしかない!
俺は慌てて、町に戻った。

見えた!あれがルイーダの酒場だ!
俺は今日あった嫌な出来事と早くオサラバするため、酒場のドアを勢いよく開けた。
店員はポニーテールがとても似合う可愛いお姉さんだ。
俺は、店員さんに、これまで起った理不尽な出来事を全て話した。
どうか、俺を雇ってくれ!!わらにもすがる思いだった。
そして、店員さんが、にっこりと微笑んで、こう答えた。

「勇者はお断りです」
なん・・だと・・
作品名:勇者の道は険しい 作家名:セテゥンタ