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砂糖菓子よりもよく溶けて、塩よりも傷口に沁みるもの

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 気になる子ができた。
けど、両手で数え切れなくなった、何回目かの恋は上手くいかない。
 きっと、彼女も、そこらへんにいる女子のように少し優しくしただけで簡単に自分の方へ擦り寄ってくると思っていた。
もっと、簡単だと思っていたのに……。

「好きだよ」
「こんなに笑うのは、君の前だけ」
「ずっと、隣にいて?」
「手放したくないよ」
「愛してる」

散々甘い言葉をかけて、態度で示してみた。
 いつもは、これですぐに思い通りに転がすことができたはずだった。
けど今回は違った。
 彼女は俺が思っていたよりも、遥かに鋭くて強(こわ)かった。
炎天下に見る、蜃気楼よりも掴みどころが無くて、空みたいに儚くて今にも崩れそうなのに……違った。
でも、心のどこかでこの現状を楽しんでいる自分がいた。
手に入らないものほど、欲しくなる。
 子供じみた純粋な欲求。
そんな単純なもので、こころを動かされたのは初めてだった。
(すきだよ、だいすき、あいしてる、ことばにできないくらいにすき、ずうっとめでていたいくらいすき)
 
 だから、早く気づいてね?可愛い人。
君が無自覚に、俺のこころに付けた無数の可愛らしい傷口がドロドロに爛れてしまう前に振り向いてね?
 だって、こんな感情は初めてだから。
もし、君が振り向いてくれなかったときに俺はどうするんだろう?
  



side:black

「好きだよ」
「こんなに笑うのは、君の前だけ」
「ずっと、隣にいて?」
「手放したくないよ」
「愛してる」

安っぽい恋愛小説みたいなセリフ。
 それは、合成着色料みたいな毒々しい鮮やかさを持つ彼にとても似合っていて
すごくすごく、胸がムカついた。
 鮮やかな彼が、そんな言葉の群れをボクに向けてくるたびに
とてもとても、咽がイかれそうになった。
 さしずめ、汚い池の中に生きる鯉になって時折頭上に降ってくる粗末なパン屑で食い扶持をつないでいるような
 そんな惨めな感覚
それが、非常にイライラして
 やたらと、喉が苦しくなって
なにかが壊れそうだった。

「嫌いです」 
「だから、なんだというのですか」
「いやです、ほかをあたってください」
「放してください」
「そうですか、ボクは愛してなどいません」

その辺にいる、頭と尻の軽い女に向けるような言葉をボクに向けないでください
 不愉快です
ねぇ、ねぇ
キミはしらないのでしょう
ボクがキミを好きだからこそ
 そんなキミの言動に
傷ついているだなんて
 キミがボクに向けるそのセリフたちは
ボクがキミを好きな分の
痛みを伴って
ボールみたいに降り注ぐ