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Wizard//Magica Wish −6− 前編

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「まど……か……」




「…っ!…暁美さん?暁美さん!!良かった…後で皆に教えてあげないと!」
「……っ……」

ほむら は目覚めた。
目を開けると、昔、いつかの時間軸でよく見た天井が広がっていた。
どうやらここは巴マミの家らしい。
額には濡れタオルが置かれている…ひんやりして気持ち良い。
おそらく彼女が手を抜くことなく何度も取り替えてくれていたのだろう。

「……う…」
「まだダメよ!身体は完治してないんだから今は寝てなさい!」
「これ以上…迷惑を…かけられないわ……私は…っ!!巴マミ、私は一体どれぐらい寝ていた…あっ…」
「ほら、まだまともに身体が動かせないくせに…安心しなさい。1年も2年も寝てた訳じゃないわよ?…そうね、せいぜい3日ってとこかしら」

3日…1週間も2週間も横になっていたかと思った。まだ許容範囲内だ。
あと1ヶ月もすれば…いや、今はまだどうにでもなるから良い。
それより早く身体を直さなければ…。ソウルジェムは…。
「ソウルジェムを探しているの?なら私が持っているわ」
「…っ!返しなさい…」
「駄目よ。あなたにこれをあげたら無理にでも魔法を使ってここから抜け出すつもりでしょ?そんなことしなくても、ゆっくり休んでいれば傷も完治するわよ。まだ私達には人間としての機能は備わっているのだから。それに当分私とハルトくんや佐倉さんが看病してあげるから安心なさい」

「そういうこと、ほむらちゃんは当分の間は外出禁止ね」
「目が覚めたんだな!早くさやか達に知らせてやらないと!」

どうやら本気で自分をここに居させるつもりらしい。
ソウルジェムは彼女の手の中…魔法ももちろん使えないし彼女自身に隙なんてものもおそらくない…まさにかごの中の鳥だ。

「さて、丁度お昼時だしお粥作ったから食べて頂戴!あ、食べさせてあげるわね?」
「結構よ。自分で…痛っ…」
「どこが結構なの?ほら、少しずつ食べさせてあげるから…」
「…っ……」



「ははっ流石のほむらちゃんもタジタジだな」
「さてと…私達はあの女を探さねぇとな、このまま野放しにしておく訳にもいかないし」
「そうだね。じゃ、マミちゃん。後は頼んだよ」

杏子とハルトはそう言い残し玄関から出ていった。2人はああやって毎日あの魔女「ミサ」…いや、「メデューサ」を探しているらしい。この3日間で傷は完治したのだろうかピンピンしている。

「はい、あ~ん…」
「……。」

メデューサ…私が今まで何度も繰り返してきた時間軸で今回始めて出会った。しかも彼女は私の魔法の特性を知っている…いや、あの一瞬、始めて時間操作の魔法を使用したあの瞬間に見切っていたとしか考えられない。時間操作しか取り柄のない自分ではあの魔女は天敵だ。現代兵器でしか対抗策がない自分には天と地の差としか言い様がない。
「…ん……」
「あ、ごめんなさい。熱かったかしら?」
何故、この時間軸でいきなり出現したのだろうか…考えられるのは まどか と操真ハルトの接触による可能性が最も大きい。やはりあの時に彼を倒していればよかった…。今更後悔しても仕方がないが、今後あの魔女は一体どのような存在になるのだろうか。…それでも、操真ハルトより厄介な存在になるとは思わないが。
彼は危険人物中の危険人物。できれば今ここで彼を倒したい。
しかし理由を まどか達に伝える訳にはいかない…もし彼女達にあの事実を話してしまえば、それは時間を超えた大罪に値する…それだけは回避しなくては。

「おかわりはどう?」
「いえ、結構よ」
「そう、じゃあ後はゆっくり寝ていてね!」

マミは食器を下げ台所へと向かう。その瞬間に ほむら は彼女の両手を凝視した…赤く晴れ上がり充血している。あれは一晩中自分に付き添ってタオルを交換していたのだろう。…と、いうことは…ずっと休んでいないのか?

「巴マミ…もしかしてあなたはずっと私を看病していたの?」
「えぇ、そうだけど」
「…馬鹿ね…自分の疲労を押し切ってまで私の為に尽くすなんて…後悔するわよ」
「もう、なんでそうやって他人を拒絶しようとするの?」
「私は誰とも親しくするつもりなんてないし、認めてもらおうだなんて思ってないわ」
「あら…その割には寝言で鹿目さんの名前を何度も呼んでいたみたいだったけど…?」
「…っ!……。」
「本当は全部演技なんじゃない?あなたは本当はそんな人間じゃないんでしょ」

食器を全て洗い終わったマミは今度は器用な手つきでりんごの皮を切り始めた。8等分したりんごとフォーク、紅茶を持ち ほむら の隣りへ座った。
「素直になりなさい…あなたは一体何を恐れているの?」
「…何も…」
「いいわよ!当分は一緒に暮らすのだし」
りんごを食べる気力はなかったので紅茶だけいただく。
甘すぎないあの独特の味が口の中に広がった。彼女の紅茶を選ぶセンスだけは認められる。

「看病するのは勝手だけど…学校は良いの?今日は平日よ」
「大丈夫、…当分わね」

彼女の表情が一瞬暗くなる。彼女は根っからの真面目だ。大丈夫なわけがない。元々彼女の学校での生活風景は知っている。特に成績が悪い訳でもなく、性格が悪いわけではない。だが…普段の生活で彼女が心を許せる知人は少ない…いや、いないのだ。
学校の教師も彼女には一目おかれているし、魔法少女という仕事の為まともに遊ぶことができず少しずつ彼女の周りから友人は減っていった。

きっと、彼女は学校に通うのが辛いのだ。

「…私と二人きりで気まずくないの?」
「え、どうして?」
「いえ…なんでもないわ…」


−後編へ続く−