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淺香 悠衣
淺香 悠衣
novelistID. 32080
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【ギャグマンガ日和】小さな鬼

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―昔、昔。 小さな村に、1人の小さな鬼がいました。

人間の耳が生えているのに角が生えているので、村の子供たちは鬼をいじめていました。

けど、その鬼には名前はありません。

鬼の記憶には、お母さんがいません。記憶と存在が消えてしまったのです。

だから、自分が何ていう名前なのかも、忘れてしまったのです。

村の人々は、そんな鬼の事を


“鬼男”と、呼んでいるのです。



鬼男は朝起きると、すぐ近くにある水溜まりに行きます。

そして、自分の姿を見てこう言うのです。

『あぁ、まだ角が取れない』

自分の手でも触って確認します。

鬼男は、大きくなったら角が取れると思っているのです。

そうしていると、村の子供達がやって来ました。

『鬼男!今日も角取れねーのかっ!!アッハハハ!!大人になれないぞー?』

『と、取れるよ・・・!ちゃんと角が取れて、大人になるんだ!』

子供達のなかでのリーダのような子が鬼男に言いました。

これは、毎日言う言葉。

“角が取れれば大人になれる”

鬼男はそれを信じているので、毎日毎日、朝起きて、夜寝る前と、水溜まりに行っては自分の頭を見て、角が消えていないか確認しているのです。

本当は、角なんか取れる筈もないのに。



鬼男は、そんな希望を思いながら





子供は、そんな希望を言いながら







笑っているのです。




毎日毎日、毎日毎日。