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君が好き

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ふわふわした癖のある髪を撫でると嬉しそうにコプチェフは、笑う。
それがきっかけなんだろうか
。俺がこいつに惚れてしまった。
結成当初の自分たちは、周りから見たら一週間ともたないな、あいつら。といわれるほど仲が最悪だった。会えば喧嘩、喋れば取っ組み合い。尋問中に犯人から喧嘩を止められた事もあった。
「喧嘩止めてください!!俺がしたんです!!」
「「はぁ!?」」
あまりに仲が悪いから上司からコンビ解消も考えられた。
だが、コプチェフが続けるの一点張りで俺もその気迫に押された。
そして、現在俺たちは自他とも認める最高のコンビになった。別に不満は、ないし満足だ。けど、それ以上を望むのはなんで?コプチェフの特別になりたがる俺は、きっとただの気の迷い。
「コプ、04と531の足取りリストだと」
「ありがと♪…てか、あいつら生活雑貨の店に何軒かよってるって、そういう関係?」
だろうなという意味合いで煙草を吹かす。まぁ、鈍いやつでもあの二羽の露骨なやり取りで気づかないなら、それだけ純真なんだろう。
コプチェフがウヒィ~、お熱いことで~といいながらハンドルを切る。
「そういや、ボリスは531がすきなんだっけ?」
運転してるから文句だけ言おう。好きじゃねぇ!!まず、好みのタイプですらない!!いや、素直な奴だから一つは、当てはまる。
「第一、野郎と乳繰り合ったり、ケツを堀り合う趣味は生憎持ってねぇよ」
「それ言い過ぎ~、一種の愛の形でしょ~」
「あのなぁ。お前、俺の好み知ってるだろ?」
「マニアック過ぎるじゃん!!趣味が料理で髪は猫っ
毛のふわふわ、Dカップで色白の太陽の光が合う子って最近の子にそんな子いません!!」
「料理と家庭菜園だよ!!あと花と点描が舞ってそうな素直な子だ!!」
「どっちにしてもいないだろ!そんな絵にかいた家庭的な子!!」
いいだろ別にとギャーギャー言い合う。
いつも通りのやり取りと日常。いい加減オレも覚悟決めて告白しないとなぁ。
コプチェフは、ため息をつく。ボリスに片思いしてはや2年と半年。最近、合コンにボリスを連行してこの恋を終わらせようとするのだが、ボリス自身の好みのタイプがいないこと、いても諦めきれない未練がましい気持ちが重なりズルズルと片思いを続行している。
というか、どうして自分たちのまわりには同性愛者が多いんだ!!ショケイスキーとカンシュコフは、眼前で花飛ばすし、04と531はハートとばすしさぁ~。泣きたくなってくる。すぐ隣にそういう関係になりたい人がいるのに、オレはそいつらをからかうしかないんだ。

「へ?今なんて?」
「射撃の練習に付き合え。おまえの射撃の練習もするぞ」
「喜んでお断w「断わんなら昼飯奢れ」
「はぁぁぁ!?オレの財布事情忘れてんの!!昨日の」
合コンで女の子に奢ったから明後日までキツイと言おうとした。だが、それを遮るようにボリスは、オレの腕を掴む。
忘れてた、こいついつも銃とか持ち歩いてるから握力が半端ない。骨が折れそう!!痛い痛いと文句をいう。
射撃場につくと有無を言わさずに銃を渡される。撃てとね…分かってるけどさぁ。
自分がどれだけ下手なのか。平均の下だとか、同僚たちも壊滅的とかいうし。仕方ないだろ的が動きだしたらオレアウトなのに!!
「的だけ見てろ。お前ギャーギャー言いながら撃つだろ、あれがダメなんだよ!しゃべんな集中!!」
ボリスのスパルタ射撃指南から解放されたコプチェフは、ベンチに座りぐったりしていた。ボリスの方は、どこ吹く風といわんばかりに涼しげな顔でコプチェフを見る。
恨みがましい目でボリスを睨むが日常茶飯事なのであえてボリスは、無視した。
「そういや、お前昨日の女と付き合うのか?」
「あぁ、あの子?残念、食事までしたけどあの子ボリス狙いだったらしいよ」
「じゃあ、なんでお前と飯食ったんだ?」
ボリスの気を引くためだったらしいがアテが外れたのだろう。ボリスのコンビであるオレといたならボリスは、否応なしに相手の女の子を見るからだろうか?女心は、わからない。
「あれ?もしかしてボリスあの子狙いだった?」
ズルッとボリスがこけかける。そして、馬鹿じゃねぇの!!と叫んだ。
え、違うってこと?は?ワケわからんという顔でボリスを見上げると至近距離にボリスの顔があった。
「お前も大概鈍いな」
呆れたように呟くとオレの唇になにか柔らかい物が重なった。
驚いて目を見開き唸るのだが体が動かない。ボリスよりオレ背でかいし、これくらいなんともないのに。振りほどけない。
「俺は興味ない奴の女みてるほど無意味なことしねぇよ。バァーカ」
いたずらが成功した子供みたいにボリスが笑う。
オレはそれどころじゃない。つまり、これは、ボリスなりの告白なんだよな…。
なら、答えないと。だが、あーとかうーとかまともな言葉が紡げない。
するとボリスが呆れたようなうれしそうな顔で聞く。
「俺のこと好きか?」
こくんと頷くと恥ずかしそうにボリスがまた笑う。そして、また唇が重なった。
今度は、深く噛みつくみたいに激しかった。
作品名:君が好き 作家名:兎餅