君と僕の初恋 01
祐希はため息をついた。
「人と話してるときにそれはひどくないですか?祐希」
「え、だって、仁だし」
「すみませんね。僕で。愛しの千鶴クンじゃなくてすみませんね」
ちょっとふてくされて言ってみる。
あ、愛しの千鶴君っていうのはね、橘千鶴クンのこと。
僕から見ればまぁ顔はちょっとかわいいけどただうるさい子ザルさんだ。
その子ザルさんにこの浅羽祐希クンはぞっこんなんです。
「……。」
あれ?
予想外の反応。
いつものコイツなら千鶴の話になると必ず食いつくのに…。
「どうしたんですか?」
「千鶴ってさ。何で今日休みなの?」
「は?風邪ひいたんじゃないんですか?」
「まさか、俺の知らない所でどっかの変態に襲われたり…」
「いや、ないでしょう。」
ったくコイツは。
千鶴クンのことしか頭にないのか。
心配した僕がバカだった。
「千鶴の可愛さあなどんないほうがいいよ。俺もたまに理性ヤバくなるから」
「はぁ、そうですか。」
あのおサルさんにどこにチャームがあるのか…。
僕には分からない。
でもこの祐希。
超×100イケメンさんで街を歩けばすれ違った人全員が振り返るような男だ。
そんな男がある男にメロメロだなんて…。
ファンの子が見たらどう思うんだろう?
祐希の方を見てみるとよっぽど千鶴クンのことが心配らしく黒いオーラが出ている。
「お見舞い。」
「え?」
「お見舞い行きます?千鶴クンの」
基本無表情な彼だか少し表情が明るくなった。
「行く。」
そう言うと荷物の準備を始めた。
す、素早い…。
僕も片付けないと。
あ、そういえば……
「春と悠太と要。どうする?」
「いいよ。呼ばなくて」
祐希はすくっと立ち上がり言う。
「?なんで。」
珍しいな。悠太も呼ばないなんて。
「人数少ないほうがいっぱい千鶴と話せるじゃん」
あー。そうゆう事ね。
本当に千鶴大好きだな。
「なら、誘いません。」
「行くよ。仁。」
凄い嬉しそう。
いや、無表情なんだけどね。
なんとなく、なんとなくなんだけど
祐希が千鶴クンのこと好きでよかったな。なんて思った。
すると、自然と笑みがこぼれた。
「はい。」