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魔法少女なな☆マギカ プロローグ

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ここは暁美ほむらが経験した一つの時間軸
そして暁美ほむらが捨て去った時間軸
だが、彼女はここで大切な何かを学んで行った。
それは一体何だったのか、それはこの物語を紐解いて行ったら分かるでしょう。
さぁ、物語の開演です。



「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

逃げて、逃げて、逃げて、私はひたすらに逃げていた。
私の顔から、腕から、足から、胸から血が流れ出している。
いつもならこんな軽い儀はすぐにでも治してしまえるのに、いつもなら、だ。

(何で、何で魔法が使えなくなったの!?)

私は戦闘中になぜかいきなり魔法を使えなくなった。
不意に、突然、いきなりだ。戦っていた相手が何かをしたのは分かった。
だけれど、何をされたかを理解する前に
相手の武器に、攻撃に、魔法に圧され、傷つき
逃げる事しか出来なくなってしまった。
私は逃げる逃げる逃げる、相手に見つからない場所まで逃げる。
私はまだ死ねない、死ぬわけにはいかない、まだやり残した事があるから。
やっと掴んだのに、私が本当に心から望んていた事を出来たのに
こんなところで死んでたまるかをいう気持ちで逃げ続けていた。
だが、非情にも神様は彼女を逃がす事はなかった。
彼女が逃げて逃げて逃げたその先に、絶望が待ち構えていた。
今しがた彼女を傷つけた相手、その人が彼女の逃げた先に待ち構えていた。

「Find!!よ~やく、見ぃつけたぁ~!!私の可愛い獲物ちゃん!!」
「あ・・・あ・・・」

私は足に力がはいらなくなって雨に濡れるその場にへたりこんだ。
そんな私を視た彼女がこちらに歩み寄ってくる。
そして、私を近くで見つめてくる。
目が合った彼女の瞳の奥に狂気が渦巻いているのが視える。
私の身体は震え始め、歯はカチカチと音を鳴らし始めている。
そんな私を見てか彼女は上機嫌に

「Great!!いいねぇ・・・いいねぇ・・その表情、怯えきったその表情
 すっごく・・ゾクゾクするよぉ・・キヒィ・・キヒヒヒ・・・。」

左手で腰の鞘の中から三振りの刀を引き抜く。
それを私の眼前へと持っていきチラつかせながら。

「でもねぇ・・・足りないの・・それだけじゃ足りないのよぉ・・
 もっと・・もっと・・もっともっと、もっと欲しいの!!
 その、恐怖で歪みきった眼を!!顔を!!もっと見たいのよぉ!!」

彼女はそう言うと
左手に持った三振りの刀で私の右の太ももを思いっきり貫いた。
魔法で増幅された痛みが私の中を駆け抜けて行く。

「ギッ!?ぎぃぃぃぃィィぃぃっぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「Pleasure!!いいよぉいいよぉ・・・いいよぉその悲鳴!その目!その表情!
 その痛みと恐怖で歪みきったその表情!!もっと!!もっと!!もっと!!
 もっと見せてぇ!!!」

彼女は私を地面に倒すと、私が起きあがってくる前に
右手で三振りの刀を抜いて、右腕を
左手で三振りの刀を抜いて、左腕を
右手で三振りの刀を抜いて、胸を貫いて行った。
貫かれる間私の中にあったのは痛みの氾濫、ただそれだけ
他の事は何も考えられずただた与えられる痛みに悲鳴を上げ続けていた。
そして、その悲鳴は彼女をただ喜ばせるだけだった。

「痛いぃ・・痛いぃィィぃぃっぃぃ!!!」
「So!痛い、痛いよなぁ?もの凄く痛いよなぁ!!いい・・いい・・凄くいい
 その瞳、表情、凄くいいぞぉ・・もっと・・もっと・・もっと!」

そして彼女は右手、左手に一振りずつの刀を引き抜き、握ると
右手で私の左手の掌を、左手で私の右手の掌を貫いた。
更なる痛みの氾濫に私の頭は痛みという黒いもので塗りつぶされて行く。
他の事はもう何も考えられない、考えられない、考えられない。
ただただただただ、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。

「Great!!キヒヒ・・凄くいいなぁ・・その悲鳴をあげる声
 とーってもぞくぞくしちゃぅ・・私、この声好きだなぁ・・。」
「痛い痛い痛い痛い痛い―――!!」
「What?どうしたら、どうしたらもっとその声を聞けるかなぁ・・・
 この子の大事な人を殺す?う~ん・・それだけだったら
 怯えって言うより、怒りって感じだしなぁ~・・・う~ん・・。」

痛みで埋め尽くされ正常な思考の出来ない頭で、微かに聞き取れた声。
私の・・大事な・・人を・・殺す?
(そんなことしてみなさい・・!!そんなことしたら私は命に代えてでも
 私は貴方を絶対に殺す・・!!)
私がそんな事を考え、彼女を気丈に睨んでいると。

「What?おぉ~・・その目はぁ、『私の大切な人を殺したら許さない』って眼 だぁ・・・その目も好きだけどぉ・・私が見たいのとはちょっと違うんだよ ねぇ・・ん~?」

彼女は何かに気がついたように私の下半身の方をじろじろと見てくる。
その目つきはねちっこく、まるで私の身体を品評するかのように
彼女は私の方を見てニヤァと笑うと

「Surprised!なんだい?私の可愛い獲物ちゃんは、あまりの痛みで
 洩らしちゃったようだねぇ・・キヒヒ、そんなに私が与えた痛みは
 気持ち良かったのかしら・・キヒヒヒヒヒ!!
 あ、あぁ~あぁ~そうだそうだ・・・。」

彼女はニヤァと笑ったかと思うと
勢いをつけて私の腹の上に私の顔に背を向ける形で馬乗り乗ってくる。
その衝撃で私は「ゲフッ」と声を漏らしてしまった。

「Now,いいことぉ~思いついたよぉ~キヒヒ・・・。」

彼女はそう言うと一振りの刀を抜いて、柄の方を下に押し当てて来た。

「Question、これを力いっぱい押しあて、入れるとどうなるでしょうかっ!!」
「・・ッ!?い、嫌ぁ・・止めて・・それだけは・・止めて・・・
 それは・・それは・・彼に上げるの・・だから・・だから。」
「so?私には関係ない・・私は、ただ・・あなたの絶望に染まる顔を
 恐怖に染まる顔を見たいだけ・・さぁ、見せて頂戴・・!!
 あなたの絶望に、恐怖に染まるその顔を・・・!!」

彼女が刀に握る手にぐっと力を入れる

「い、嫌・・・嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」



「あぁ~・・・相変わらず、えっぐいなぁ・・・あいつのする事はぁ・・

惨事が行われている場所から数m先の曲がり角の影、そこに彼女はいる。
彼女は今の今まで眼の前で起こっていた事を見ていた。
だが、彼女は見ているだけで、止めに入る事はなかった。
逆に彼女は、今目の前で起こっていた惨事を見て喜んでいた。
彼女は自分が狂っているという自覚はしている
そして、そんな自分を受け入れているのだった。
惨事から数分後、彼女は路地から出て来た。
そして彼女は、地面に横たわる彼女元へと歩いて行く。
地面に横たわる彼女に既に傷は無く、服も治っている。
ただ「ごめんね・・・ごめんね・・・ごめんね・・恭介・・」と呟いている。
どうやら心に大きな傷を負ったらしい。
彼女は好都合だと思い、彼女の身体を見渡す。ソウルジェムを探すために。
そこで、一つの事に気づく。
彼女のへの当たりになにやら黒い、機械の様なものが付いているのが見えた。
その黒い機械の端から少しだけだが
彼女のソウルジャムが顔を覗かせている。