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独白

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甲板から、フィギュアヘッドに尻を落ち着け嬉しげに前を見る船長を、ゾロはなにとなく見る。

このところ、慌ただしい日々が続いていて、のんびり昼寝をする余裕がなかったなと思う。
剣士にとっての昼寝は、熟睡を意味するものではない。適度な鍛錬の後の、肉体の賦活のための休息だ。

足を投げ出し、目を閉じる前に船長の姿を確認するのは本当に久しぶりだ。
勿論、目を閉じていてもクルーがどのあたりにいるのかなど気配を探ればすぐに見当がつくが、ここは我が家とも言えるサニー号の中。そんな作業は必要ない。だが、船長は別だ。

この一味の、礎となるもの。要となるもの。
その存在が健やかにそこにあること。前を向き、前を見つめ、瞳を輝かせていること。
それが、自らの野望と同じくらいに大切な宝となったのは、一体いつからだったのだろう。

くいなの刀と三代鬼徹、そして黒刀秋水。
三振りの刀をきっちりと右肩に担ぎ、あぐらをかくと腕を組む。
ひとりで海へ出て、ひとりで過ごした日々よりも、仲間と過ごした時間の方が濃密だった。船長の、トラブルを求める望みが強すぎるのが一番の原因だろう。

群れること、海賊の汚名を着ること。
鬱陶しく煩わしいとしか思わなかった事柄が、不思議と愉快だと思うようになった。
仲間を得たいと思ったことは一度もない。それなのに、船長が欲しがる仲間を、心底嫌がる自分がいなかったのも不思議だ。
思わず、唇の端が上がる。
つくづく、出会ってよかったと、思う。
彼に出会い、彼と共に行くことで得たものは、想像を遥かに越える。
自分の求める最強の座を、彼は認め、そこへ到達する自分を、彼が信じている。それは心地良く、退けぬ覚悟を更に与えた。いっそ、清々しいほどに。

これまでも、そしてこれからも、貪欲に強さを求める。
船長が高みを目指すだけ、競うように、ただ純粋に更なる強さを目指していく。
船長が高みに届くよう、ただ純粋に支える強さを磨いていく。
曲がらぬよう、折れぬよう、傷つかぬよう、失わぬよう。

嬉しいのだとわかっている。
出会えてよかった。本当に。
もしも出会っていなかったなら、この強さを手に入れることはなかっただろう。
くいなとの約束が頂点ではないことに、気づけなかったかもしれない。

おれは運がいい。
目指す最強は、いつでもまっすぐ前にある。
それを見据え、足を前に運びさえすれば、必ず辿り着けるようになっているのだ。

もう一度、麦わら帽子を被った船長を眩しそうに見て、彼は目を閉じた。
口許には満足げな、そして不敵な笑みを浮かべて。
作品名:独白 作家名:飛馬朱生