親友の恋相手
緑川は、自分の後ろ髪をまとめていたゴムを解いた。
緑川の髪が、明るさを少し落とした照明に照らされ、妖艶な光を放つ。
ヒロトは無言で横を向いた。
「ねぇヒロトってば」
「...だからオレは」
「言われる前から知ってたよ、ヒロトが円堂くんのこと好きだって」
「っ...!!」
顔を上げると、恨みがましそうにこちらを見るリュウジと目が合った。
「みど...」
「なんでオレじゃないの?なんで円堂くんなの?オレは...オレはずっとヒロトのことが好きだったのに」
「...ごめん」
「謝らないでよ」
別にヒロトが悪いわけじゃない。
謝られると、親友の恋を笑顔で受け止められず、自分の苦しみから逃れるためヒロトを責めている自分に対しての嫌悪感が増す。
緑川は、こみ上げてくるものが抑えきれず、抹茶色の髪を揺らしてベッドにつっぷした。肩が、小刻みに震えているのが見て取れる。
「酷いよヒロト...」
ヒロトは、緑川の髪にそっと触れた。
「本当にごめんな...」