愛シイ人 ぱーと2
放課後、後ろ手にカッターナイフを持ち、天馬をグラウンドの隅に呼び出した。
「......なんですか先輩」
なかなか口を開こうとしないオレに、天馬が話しかける。
「あのな、天馬。オレは神童なしじゃ生きていけないんだよ」
「先...輩...?」
天馬が霧野の手に握られているものを認識できないほどのすばやい動作でカッターナイフをだし、抵抗できるような間髪も入れず、天馬の胸元に突き立てる。
天馬の断末魔の叫び声が空に響いた。
天馬の叫び声を聞きつけ異変を感じたのか、
「どうした?大丈夫か?」
と、神童が走りよってくる。
そして、ナイフが刺さっている霧野をかわるがわる見た。
「霧野...これは......どういうことだ。説明してくれないか...」
「全部神童のせいだよ。オレをこうさせた神童のせい」
突然霧野は狂ったように笑い出す。
禍々しい笑い声は、止むことなく夕焼け空にこだました。