Kサト小説その②
ふ、とした何気ない瞬間に、
甦るモノがある。
例えば一人手近で作ったインスタントラーメンをすすってる最中だとか。
一通り仕事が済んだあととか。
一服してる時とか。
誰にも何にも捕らわれず、一人過ごす静かな時間。
『ソレ』は甦る。
(あまり偏った食事はダメですよ。身体に悪いんですから。もし忙しいのなら僕が作りに行きますから遠慮なく言ってくださいね――)
(お疲れ様ですKKさん。今日はどこのビルを磨いていたんですか――?)
(煙草の吸いすぎも身体によくないです。――あ、だからって無理に我慢はしないでくださいね!そっちのほうが身体に悪いですから――)
瞳を閉じればなお鮮やかに。
――KKさん――
甘く、優しく、紡がれる自分の名前。
そう、
――いつだって、どんな時でも
――耳に残るは、君の声――