電光接客ゴライテン(01)
そう、オキク・ノイドの致命的な欠陥は、味方だけではなく敵まで大きくしてしまうことだった。
「キーッ、悔しい。たった1度見ただけで、その欠陥に気づくとは……」
「あのー、お菊さん。これって、巨大化した意味ってあるんですか?」
おずおずと9ケツ鬼が聞くと、
「うっさいわね。黙ってとっとと、戦いなさい」
と、はねのけられた。
「まぁ、やりますけど。歩いて移動するだけで、民家がグシャグシャ潰れていくんですけど」
と、そのとき、ゴライテンロボが9ケツ鬼に跳び蹴りをかました。9ケツ鬼は吹っ飛ばされ、人型に民家が潰れた。
「ちょっと待て! 悪人の俺が民家を潰すことを気にかけているのに、正義の味方が、なんで配慮無しなの?」
と、9ケツ鬼が言っている隙に、ゴライテンロボが9ケツ鬼の両足を持って、グルグル回しだした。いわゆる、ジャイアントスイングというヤツである。
「ちょっと待て、この技ってこの後、手を離すんだよな。そんなコトしたら……」
と、9ケツ鬼が最後まで言わないうちに、ゴライテンロボは、手を離した。当然の結果として、9ケツ鬼は民家を潰しながら滑って行って、止まった。
9ケツ鬼は、
「だから、言っただろーっ!」
と、叫んで、1拍おいて、大爆発した。もちろん、近くの民家を巻き添えにして。
ゴライテンロボは、9ケツ鬼に向かって手を合わせ
「ご来店、ありがとうございました」
と言った。
さて、ロボでない生身の方のゴライテンは、お菊の井戸を取り囲んでいた。
「さぁ、観念しろ。逃げ場はないぞ」
「ほほほ、ひとつ教えてあげましょう。我らは、このお菊の井戸を通って、日本全国にある月極駐車場から、任意の月極駐車場まで、瞬時に移動できるのよ。じゃあね、バッハハーイ」
ゴライテンが5人同時に、お菊の井戸に飛びかかろうとした瞬間、タッチの差で、お菊の井戸は、地面に吸い込まれるように消えた。空振りしたゴライテンの5人は、仲良く頭をぶつけたのであった。
行け、ゴライテン。進め、ゴライテン。翔べ、ゴライテン。3回まわってワンと鳴け、ゴライテン。他人の家に忍び込んでバック宙の練習をしろ、ゴライテン。ちょっとコンビニ行ってサンマガとドクターペッパー買ってきてくれ、ゴライテン。なんかもうダルいから何か一発ギャグで笑わせてくれ、ゴライテン。
電光接客ゴライテン。
(続くかも知れない)
作品名:電光接客ゴライテン(01) 作家名:でんでろ3