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きちがいえいむ
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ジョジョの奇妙な冒険 小さき者の凱旋

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プロローグ



これから話すのは、大げさに言うならば私の『成長』の物語。
ちょっぴり私好みに言い換えてもいいのなら、『青春』物語…。
『青春』を何とするかによっては捉え方も変わってくると思うけれど、
少なくとも私-エミリィ・ウォーカー-にとって、思い当たる『青春』はこれしか無い。
そう、''ジョジョ''と呼ばれる少年と出会ってからの、短くとも鮮明で、そしてとびっきり奇妙な時間…。


[]=ナレーター





[時は20世紀初頭、アメリカ!!まだ禁酒法が撤廃されたばかり。多くの民衆が堂々とお酒を飲める世界に喜び、また多くの犯罪組織がお酒の売り上げを失い苦渋を味わっていた、そんな時代である!!この時代にもまた、とある黄金の精神を受け継ぐ、数奇な運命に魅入られた一人の少年がいたッ!!]


その小さくて薄汚い壁は、ニューヨークにある安ホテルの食堂のものだった。
私-エミリィ・ウォーカー-の実家は裕福だ。数年前まではイケナイ闇市場で儲けていた酒場の主。禁酒法撤廃時にはうまく業種を転換し、今は運送業で儲けている。
では、なぜそんな『お嬢様』とも呼ぶべき私がこんな汚い場所にいるのか。
答えは――そう。冒険がしたかったから。
このホテルはよく旅行者や旅人がに泊まっていく。そんな彼らのちょっとした冒険譚を聞くのが、私の小さいころからの秘密のブームである。
こんな場所に何度も出向いてることが知れたらお説教は免れないと思うけど、屋敷ではこんな話は聞くことはできないからね。
私の父も禁酒法時代に警察やギャングと色々モメたりした経験はあるけど、それは結局内輪の話。私が知りたいのはもっと外の話。
だからここで色んな旅人の話を聞いた。砂漠の原住民の話も聞いたし、海を渡った先の国の話も聞いた。あの世紀の大レース…スティールボールランレースに参加したという騎手の話も。
でも今までで一番印象に残っているのは…そう、確か『ジョジョ』とかいう変な名前の人の話だったかな―――。