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セテゥンタ
セテゥンタ
novelistID. 44095
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かっ飛ばせー

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いやぁ、今のは惜しかったですねぇ。
ルシファー投手、かなり慎重ですね。

そうですね。ええ。アザゼル選手のことをかなり意識して投げていると思います、顔を見ると。

今回はルシファー投手が消える魔球を一度も使って来ていませんが、
やはりアザゼル選手のバッドを警戒してのことでしょうか。

ええ、おそらくそうでしょう。

「何じろじろ見とんじゃ。みせもんちゃうぞ、こら」
アザゼル選手。観客席に向かって何か言っているようですが、こちらからでは聞こえません。
おっと、ここで、ルシファー投手。アザゼル選手に何か話しかけているようです。
アザゼル選手をなだめているんでしょう。さすが、ルシファー投手。投手の鏡。

「おぃおぃ、あっちゃんよう。もっと来いよ!もっと俺を楽しませろよ」

「ルシファーはん。その手には乗りまへんで。あんた、
わしのバットを空振りさすために、わざと挑発してはるんやろ」

「別にぃ。あっちゃんのバッドなんか怖くないしぃいい」

「ほな、次は消える魔球、つこてくれますねんな」

「はん?それとこれとは別だっつの。俺、次ぜってぃつかわねぇよ」
というのは嘘で、次は消える魔球だぜ。へっへへへ。次で終わりにしてやんよアザゼル。

「わかりやすい、合図やなぁ・・・」
「おま、今、なんつった?」

「いや、なんも」

ルシファー投手。しきりにグラサンをかけ直してます。いよいよ出るんでしょうか。消える魔球。
そうですね。おそらく魔球を出す合図ですね。

九回の裏、ここで、アザゼル選手、ホームランを打てば一発逆転サヨナラ勝ち。
対するルシファー投手。次を守れば、そのまま逃げ勝ち。
このまま慎重なプレイで終わるのか。
それとも、やはり最後は消える魔球で決めるのか。

おっとルシファー投手!足を高々に上げた。

「これで決めてやるよ!!アザゼル!!」
「それはこっちの台詞じゃあああ」

高々と上げた足がマウンドに地響きを鳴らし、
手に吸い付いたボールが手からスライドすると、急激な加速を得た。
それは風、それは刃、それは光、それは一瞬の出来事。

アザゼル選手なにもできず!!やはり今年も進撃の巨○が勝利!
おしくもハン○、勝ち星に届かず。

「なんや・・・これ・・。ほんまになんも、見えなんだ・・・。わしの完敗や・・・。
ルシファーはん、あんたなら、やっぱやってくれるとおもたわ」

「わはっははは。あたりめぇだよ。俺ルシファーだよ。きまってんだろ!そんなもん」

「ちょっと待ってください!!!」

おっとあれは・・・、サクマ監督。

一体なんでしょう。勝敗はもう決したはずですが・・。

「どうしてですか!どうしてなんですか」

「サク、お前はひっこんどれ」

「なんでですか!なんで嘘つくんですか。アザゼルさん」
「嘘なんかついとらん。負けは負けや」

「アザゼルさん・・・。私は知っています!!」
「皆さん。球場の上を見てください!!!」

おっと、どうしたことだ。サクマ監督。ドーム球場の上を指さした。
んんん!!これは一体どういうことだあああ。
ボールが・・・!ボールが・・・天井に!!!刺さっているううう!!ドドドドド!!!

「おぃおぃおぃおぃ・・・。嘘だろ・・・。俺は今、超ビックな驚きだぜ・・・。
アザゼル、お前、いつ打ったんだ・・・」

こ、これは!!消える魔球ならざる消えるバッド。ボールもバットもどっちも見えなかったあああ!!
全く見えなかったあああ!!!
すごい、すごすぎるぞ~~アザゼル!!!

「サクマはん。だまっとったんは悪かった。せやけど、このまま、ルシファーはんに負けでも、ええと思たんや。
それくらい今日は素晴らしい試合やったんや。ほんま」

「アザゼルさん、良かった・・・、良かった・・・」
サクマ監督が泣いた!今シーズ何度目の涙でしょう。ほんとに素晴らしい良い試合でした。
ほんとうにほんとうにありがとう。サクマ監督、ルシファ投手、そして、我らがアザゼル選手!!!

「いやぁ、勝ちを譲るのも男らしさやとおもとったけど、やっぱ勝つちゅうのは気持ちええもんですなぁ」
「ああ、そうそう。後、バットちゃうから。性槍○クスカリバーやから」

こうして、盛大な歓声と共に、球場を後にしたアザゼル達であった。

「プルプルプルプル」
「プルプルプルプルプル」

「はい、もしもし。こちら、ルシファー」
「いやぁ、ルシファーはん。おつかれっす」

「おう、あっちゃんか。俺すっごい活かしてただろ」
「ほんまですわ、いやぁ今回はこちらに黒星付けてもろて、ほんまに感謝してまっさ」

「な~に、いいってことよ。あっちゃんと俺の仲だろ」
「いやぁ、ルシファーはんの時間巻き戻し能力。ほんますごいでっさ」

「おぃおぃ、よせよ。照れるだろ。俺様に掛かったら、あんなの朝飯前だっつの」
「ほんまに助かりましたわ。これでわしの地位も当分安定でっさ。ほんま、おおきに。
ああ、そうそう。それと報酬はいつもの口座に入れときますさかい。ほな、今後ともよろしゅう」

「おう、またな」

「プープープープー」

携帯を超クールなズボンにしまうと、俺様は活かした顔で、
再び、街を超クールに歩き、夜の街へと姿を消したのだった。
作品名:かっ飛ばせー 作家名:セテゥンタ